3. libretto ff1100 : Vine Linux 4.1 インストール
前回( 2. libretto ff1100 : ff1100 は生き残れるか? )、「次期サーバー用OS候補として Ubuntu に取り組むことに決めました。」と書いたのですが・・・、残念ながら現状では Ubuntu(7.04)+ USB-LANアダプタの組み合わせはサーバー用としては不適当であることがわかり、諦めました(苦)。
問題はネットワークとCPUの両方に負荷がかかる処理(特に apt を使ったアップデートとか)をさせると、やたらにLANアダプタが落ちてしまうことです。USB接続はPCカードなどに比べてCPUにやや負担がかかるとかで、非力な ff1100 でキツいのかも。わたしが買ったUSB-LANアダプタが良くないのかもしれないけど、買いなおしてうまくいくという保証もないし。ともかくネットワークまわりが安定しないのでは、サーバー用としては失格です。
なんとか Ubuntu でいけないかと、もう一度PCカードのLANアダプタ認識に挑戦したのですが、やっぱりうまくいきませんでした。原因は 2.6 系のカーネルで使われている pcmciautils というモジュールにあるようです。ff1100 で採用されている東芝製PCカード・コントローラ ToPIC95 との組み合わせで不具合が生じることが、 Linux Kernel 2.6 PCMCIA のページで報告されていました。これが解消しないことには ff1100 で Ubuntu は難しそうです。Mandriva 2007.1 も同じ症状でX。
このような次第でやむえず前回の案 2. に相当する「メモリを追加して Vine Linux 4.1 をインストール」を試みたところ(しかたないので32MBの中古増設メモリをネット通販で買い、三千円ほど追加出費・泣)、こちらは意外にもすんなりと成功しました。Vine 4.1 もカーネルは 2.6 系になっているのですが、PCカードまわりの認識のさせ方が違うようです。
ともあれ成功しましたので、以下にご報告。Vine Linux 3.2 のよりちょっと詳しくしてみました。といっても、所詮素人のお遊び、あんまり信用しないように(笑)。また、インストール時の画像は、マイクロソフトの仮想マシン環境構築ソフト Virtual PC を使って取り込んだものですので、実際とは少し違っているかもしれません。そのへんもご容赦。
1.インストールの手順
今回のインストールの手順は、
- ff1100 のハードディスクへ、カーネルのブート・イメージ・ファイルとインストール・イメージ・ファイルをコピーする。
- コピーしたファイルから起動できるように設定する。
- インストーラーを起動させ、必要項目を入力・選択する。
- 自動的に必要なファイル群がダウンロード・インストールされる。
という流れになります。
2.インストールに必要なもの
- メモリ96MB以上搭載で linux がインストール済の ff1100
-
残念ですが、標準搭載されているメモリ64MBだけでは Vine Linux 4.x 系はインストールすることができません(苦)。32MBか64MBの増設メモリを入手し、追加する必要があります。
さらに Vine Linux 4.x 系ではフロッピーからのインストールが廃止されてしまったので、ハードディスクからインストーラーを起動させねばならず、そのため何らかの linux が先にインストール済である必要があります。Linux をインストールするために他の Linux が必要というのも何だかおかしな話ですが。
先にインストールしておく linux としては、前のバージョンである Vine Linux 3.2 が使えることは確認しました。Vine でなくとも多分だいじょうぶだと思いますが。いずれにせよ、インストール用のファイルをハードディスクへ持ってくるために、USBの各種メディアかネットワークが使える状態になっていなければなりません。Linux 未インストールの場合は「 > 1. libretto ff1100 : Vine Linux 3.2 インストール 」を参考にしてください。
- PCカードのLANアダプタ
-
インストールだけなら実はUSB-CDドライブがあれば可能なのですが、サーバーとして運用するなら結局必須ですし、以下の記述もネットインストールを前提にしています。対応しているカードは・・・、不明です。がんばって調べてみてください。わたしが使っているのは Vine 3.2 の時から Laneed の LD-CDL/TXA 。
ちなみにわたしはBIOSのPCカードの設定を「CardBus/16-Bit」にしています(下の画像の赤枠部分)。他のモードでも動くかもしれませんが、確認していません。悪しからず。
- インターネット接続環境
-
ブロードバンドがほぼ必須。LAN内に NFS・FTP・HTTP サーバがあれば実はそちらからインストールすることもできますが、インターネット上に公開するサーバーとして運用するならこちらも結局必須です。
3.準備
ff1100 にはすでに Vine Linux 3.2 がインストール済、という前提で説明していきます。
まず ff1100 の /boot ディレクトリの直下にインストール用ファイルを格納するディレクトリを作っておいてください。例えば下記のように /boot ディレクトリの下に /inst ディレクトリを作るとか。
# mkdir /boot/inst
ここにインストール用ファイルを置きます。
それからインストール用のカーネルのブート・イメージ・ファイルとインストール・イメージ・ファイルを入手します。Vine 4.1 のインストールCDからコピーするか、インターネットのサイト( Vine Linux ホームページ 参照)からダウンロードします。
インストールCDからコピーする場合は、/isolinux ディレクトリにある下記のファイルを、インターネットのサイトからダウンロードする場合は、/***/linux/Vine/Vine-4.1/i386/isolinux ディレクトリ( *** の部分はサイトによって異なります)にある下記のファイルを、格納用ディレクトリに置いてください。
- vmlinuz(カーネル)
- initrd.img (インストール・イメージ)
次に lilo.conf を編集して lilo からインストーラー起動を選択できるようにします( grub でも同様の設定をすれば起動可能だと思われます)。エディタで lilo の設定ファイル /etc/lilo.conf を開き、下記の内容(白文字部分)を追加します。
image=/boot/inst/vmlinuz
label=Install
initrd=/boot/inst/initrd.img
append=" text ramdisk_size=8192"
「image=」でインストール用カーネルのファイルを指定します。
「label」 は各起動設定を識別するための名前です。他の起動設定の label とは異なる文字列を使ってください。
「initrd=」でインストール用イメージのファイルを指定します。
「append=」にテキスト・インストールを選択するため、" text" を追加しています。ただし、メモリが96MBの場合はこのオプションがなくてもテキスト・インストールになります。
修正した /etc/lilo.conf を保存したら
# lilo
で、設定を反映させます。
Added Install
と表示が出れば成功("Added" の後に追加された label が表示されます。ここでは "Install"。)。うまくいかない場合は lilo.conf を見直してください。
できたら再起動します。
4.インストール
再起動すると lilo の起動メニューが出ます(下の画像)。

カーソル・キーで "Install" を選択しエンター・キーで起動させます。インストーラーが起動すると、まず言語選択の画面が出ます(下の画像)。

ここでお好みの言語を選んでエンター。以下、japanese を選択したものとして説明します。続いてキーボードの選択(下の画像)。

ここはそのまま "jp106" を選んでください。
次はインストール方法の指定(下の画像)。

USB-CDドライブが接続されていれば "ローカル CDROM" でも、ハードディスクのインストール先とは別のパーテーションにインストールCDの内容がコピーされていれば "ハードドライブ" でもインストール可能なはず(多分)。
以下、FTP を選択したものとして説明します。なお、HTTP でも NFS でも作業の流れはほぼ同じです。
次は TCP/IP の設定(下の画像)。ネットワークの環境に合わせて設定してください。

続いてインストールに使用する FTP サーバーの設定(下の画像)。

サーバは Vine Linux のホームページ のリストから選びます。例として、ftp://ftp.ring.gr.jp/ ならサイト名は ftp.ring.gr.jp (ftp:// は不要です)、ディレクトリは /pub/linux/Vine/Vine-3.2/i386 (画像では入力スペースをはみ出しているので途切れています)となります。他のサーバでも若干違いはあるものの、ほぼ類似のディレクトリ構造ですので一度実際にサーバにアクセスしてたどってみれば判断がつくでしょう。
設定を済ませると、最初に必要なファイルがダウンロードされ(下の画像)、

設定が正しければしばらく待つと、「Vine Linux へようこそ!」という画面が出ます(下の画像)。

"OK" を押してさらに続けるとモニタの設定に移ります(下の画像)。

モニターの "変更" を選ぶと設定できるモニターのタイプが表示されますが(下の画像)、libretto ff1100 のディスプレイの 800×480 は特殊なサイズのため、リストにありません。わたしはとりあえず "LCD Panel 640×480" にしておきました。XWindow を使わないのなら、これで問題ないようです。

このインストール例では、ハードディスクに既に別の Vine Linux がインストールされている状態で行っているため、ここでアップグレード・インストールか新規インストールかの選択を要求されます(下の画像)。特にアップグレードの必要がないのなら、"システムの再インストール" を選択して新規インストールにした方が無難でしょう。

次にインストールの種類を決めます。使用目的に応じて選択することになります(下の画像)。わたしは ff1100 をデスクトップ用に使うつもりはないので、"Server" にしています。なお、"Base System" のデフォルトはPCカードに対応していないようです。注意してください。

今度はディスクパーティション設定(下の画像)。特別な設定が必要でなければ、そのまま "自動パーティション設定" に任せてしまってよいかと。

"自動パーティション設定" を選ぶと、インストーラーがハードディスクをどう使うか訊いてきます(下の画像)ので、適宜選択。他のOSを同居させる・データを残す等の事情がなく、ハードディスクをまっさらな状態にしてから使うのであれば "システムのすべてのパーティションを削除" を選びます。ハードディスクが複数接続されている場合は、対象となるハードディスクの選択も。

設定の確認を求めてくる(下の画像)ので、そのままでよければ "はい" 。

インストーラーがパーティション設定を提示してくる(下の画像)ので、そのままでよければ "OK" 。変更したい場合は自分で調整できます。

搭載メモリが少ない(96MB含む)場合、ここで警告が出ます(下の画像)。"OK" で先に進みます。

次にブートローダの設定です(下の画像)。通常はそのまま "GRUB を使用する" を選びます。

さらにブートオプションの設定が可能です(下の画像)。特に指定したいオプションがなければ、空白のままで先に進みますが・・・、

libretto ff1100 に Vine Linux をインストールした場合、デフォルトのままだとコンソール画面で日本語が文字化けします。この問題はここでオプションとして、"vga=0x301" と指定する(下の画像)ことにより回避することができます。もっともインストール後にエディタで /boot/grub/menu.lst を編集しても同じことが可能なので、「インストールの段階で余計なことしたくない」とお考えの向きは、しなくてもまったく問題ありません。

続いて GRUB パスワードの設定(下の画像)。必要に応じて、使うかどうか決めてください。Linux ユーザーのパスワード設定ではありません。ご注意。

ブートするOSの設定(下の画像)。通常はインストーラーの提示のままにして進みます。変更する必要がある場合は、個別に編集。

ブートローダのインストール場所の設定(下の画像)。ここも通常はインストーラーの提示のまま、"マスターブートレコード" を選択してして進みます。

次はネットワークの設定(下の画像)。環境に合わせて設定しますが、実際には前述の TCP/IP の設定で入力した内容がここで表示されますので、変更する必要がなければそのまま進みます。

ゲートウェイ・DNS の設定(下の画像)も環境に合わせて設定しますが、ここも実際には TCP/IP の設定で入力した内容が表示されますので、変更する必要がなければそのまま進みます。

ホスト名の設定(下の画像)。ここも各自の環境に合わせて設定します。『ホスト名を入力しなかった場合、「localhost」になります。』と表示にあるんですが、入力しないとなぜか『ホスト名を指定していません。』と怒られます。"手動で" を選択した場合は、適宜ホスト名をつけましょう。

ファイアウォールの設定(下の画像)。これも必要に応じて設定。

参考までに "ファイアウォールを有効にする" を選択した場合、デフォルトで適用されるフィルタリングルールは下記の通り。
-A INPUT -j RH-Firewall-1-INPUT
-A FORWARD -j RH-Firewall-1-INPUT
-A RH-Firewall-1-INPUT -i lo -j ACCEPT
-A RH-Firewall-1-INPUT -p icmp --icmp-type any -j ACCEPT
-A RH-Firewall-1-INPUT -p 50 -j ACCEPT
-A RH-Firewall-1-INPUT -p 51 -j ACCEPT
-A RH-Firewall-1-INPUT -p udp --dport 5353 -d 224.0.0.251 -j ACCEPT
-A RH-Firewall-1-INPUT -p udp -m udp --dport 631 -j ACCEPT
-A RH-Firewall-1-INPUT -p tcp -m tcp --dport 631 -j ACCEPT
-A RH-Firewall-1-INPUT -m state --state ESTABLISHED,RELATED -j ACCEPT
-A RH-Firewall-1-INPUT -j REJECT --reject-with icmp-host-prohibited
言語サポートの設定(下の画像)。これも必要に応じて設定。

タイムゾーンの選択(下の画像)。これも環境に合わせて設定。

root のパスワードを設定します(下の画像)。

root のパスワードを設定しおわると、インストーラーがパッケージ情報を読みにいき(下の画像)、

しばらくするとパッケージグループの選択に移ります(下の画像)。これも必要に応じてリストから取捨選択。

するとインストーラーが依存関係をチェックし(下の画像)、

いよいよインストールが始まります(下の画像)。

まず、ディスクのフォーマットが始まり(下の画像)、

それからパッケージのダウンロード・インストールが進行していきます(下の画像)。時間は回線速度やインストールするパッケージの量にもよりますが、ADSLなら、とりあえず1~2時間は覚悟しておいてください。

パッケージのダウンロード・インストールが終わると、X 設定のカスタマイズ(下の画像)となりますが、インストールの種類が "Server" でデフォルトのままなら、X ウィンドウはインストールされていないはずですので、ここは関係ありません。標準ログインが "テキスト" になっていることだけを確認して "OK" を押してください。もし、X ウィンドウを使いたいのでしたら・・・、わたしは確認していないので何ともいえません。がんばって挑戦してみてください・・・。

これでようやくインストール完了です(下の画像)。エンター・キーを押すと再起動します。

再起動後、GRUB のメニューから Vine Linux 4.1 を起動します(下の画像)。

これで起動も完了(下の画像)。お疲れ様!
