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RONNIE LANE

2. Wood, Townshend, Marriott

 Ronnie にはソロ以外にも旧知の仲間と組んで共同名義で制作した作品がいくつかあります。どれも地味ながら味わい深く、ソロ・アルバムを一通り聴いた方は、次にこちらが順当でしょうか。

Mahoney's Last Stand

Mahoney's Last Stand
Ron Wood & Ronnie Lane (1976)
  1. Car Radio
  2. Tonight's Number
  3. From The Late To The Early
  4. Chicken Wire
  5. Chicken Wired
  6. I'll Fly Away
  7. Title One
  8. Just For A Moment <Instrumental>
  9. 'Mona' The Blues
  10. Hay Tumble
  11. Woody's Thing
  12. Rooster Funeral
  13. Just For A Moment

 Faces 時代の盟友 Ron Wood とともに作った同名映画のサウンドトラックです。この映画はきわめて知名度が低く、イギリスでも観たことのある人は稀なんだとか・・・。ちなみにスジは、都会っ子の主人公 Mahoney が田舎の農業労働者となり、彼を雇っている地主の娘との恋に悩む中での彼の変化を描いていく、というものだったそうです。出演俳優が友達だったことから Ronnie は Ron Wood にも声をかけて一緒にこの仕事を引き受けたんだとか。

 このアルバムの制作時期はまだ Ronnie が Faces 在籍中の1972年頃らしいのですが、発売されたのはかなり遅れて1976年でした。その理由は、この映画が裁判沙汰に巻き込まれてしまったことでその公開自体が遅れたため。業を煮やした Ronnie はお気に入りの "Chicken Wired" を再録して "Anymore For Anymore" に入れたので、結果的にそちらで先に発表ということになりました。

 "I'll Fly Away" は参加者の一人・ Billy Nicholls によると、彼と Ronnie が いっしょに聴いた The Dillards が元ネタだそうです。

 "Just For A Moment" はアルバムの最後に置かれるにふさわしい佳曲。こういうしみじみ感はやっぱり Faces では合わないかな・・・。Ronnie のお兄さん・Stan Lane によりますと、この曲はその数年前に Ronnie が溺れそうになったときの臨死体験を題材にしたもの(!)だそうです。

 内容はサウンドトラックということもあってインストルメンタルが多くなっています。二人に加え一部の曲では Ian McLagan と Kenney Jones まで参加しているにもかかわらず、Faces 的な「オラ、オラ、オラーッ、行ったれやーっ!!」というノリは皆無。むしろ、夏の強い陽射しを避けて木陰で休んでいる一時のような、ユル~くリラックスした雰囲気が良い感じです。

 また、Benny Gallagher と Graham Lyle に Bruce Rowland も参加していますので、その後の Slim Chance への展開も想像されるところ。

Rough Mix

Rough Mix
Pete Townshend And Ronnie Lane (1977)
  1. My Baby Gives It Away
  2. Nowhere To Run
  3. Rough Mix
  4. Annie
  5. Keep Me Turning
  6. Catmelody
  7. Misunderstood
  8. April Fool
  9. Street In The City
  10. Heart To Hang Onto
  11. Till The Rivers All Run Dry

 こちらは The Who の Pete Townshend と組んだアルバム。これ以前にも Pete のソロ・アルバム に Ronnie が参加したり、逆に上の "Mahoney's Last Stand" には Pete が参加しているし、家族ぐるみのつきあいもあったそうで仲良かったんですね。なんでも Ronnie が Small Faces 再結成に当初参加していながら途中離脱した ことから契約上の問題となり、レコード会社に対する義務を果たすため Pete の助けを得て制作されたんだとか。

 さて、 "Mahoney's Last Stand" がほぼ全曲 Ronnie と Ron の共作となっているのに対し、こちらは二人の共作は "Rough Mix" の1曲だけ、後はそれぞれが自作を持ち寄った形で各々の個性の違いがよくわかるという、まさに "Rough Mix"(=「寄せ集め?」って安易じゃないスか、お二人さん)。ちなみに自作曲での Ronnie はいつもの Ronnie で(笑)、 "Ronnie Lane's Slim Chance" 収録の "Give Me A Penny" を下敷きにしたらしい "Annie" や自分の誕生日にちなむ "April Fool" など佳曲が並んでいます。(追記:2013年に Pete Townshend の自伝の邦訳が出ましたが、それによりますと Pete は曲作りをいつも一人でしているので本作でも曲を共作する気は最初からなかったそうです。)

 実は参加メンバーが Eric Clapton、The Rolling Stones の Charlie Watts、The Who の John Entwistle など地味に豪華で、そのせいもあってか急遽間に合わせ的な事情で制作された作品でありながら、アメリカでは(意外にも)そこそこ売れたようですし、けっこう評価されたようです。もっとも本人はあるインタビューで「これは傑作だ!!」と言われて、びっくりしたり大笑いしたりしてましたけど。

Majic Mijits

Majic Mijits
Lane & Marriott (2000)
  1. Lonely No More
  2. Chicken (If The Cap Fits)
  3. Toe Rag
  4. Bombers Moon
  5. Birthday Girl
  6. Last Tango In NATO
  7. How Does It Feel
  8. That's The Way It Goes
  9. You Spent It
  10. Son Of Stanley Lane
  11. Be The One
  12. Ruby Jack
  13. All Or Nothing (Reprise)

 Small Faces 脱退以来、袂を分かっていた Steve Marriott が病と闘う Ronnie を励まそうと一緒に作った作品なのだそうです。収録が行われたのは1981年。レコード会社はこのアルバムの発売の条件としてツアーに出ることを求めたそうなのですが、病身の Ronnie には無茶な話で、結局、当時はオクラ入りになってしまったそうです。その後、Ronnie はマスターテープをガールフレンドの戸棚に置きっ放しにして、それを忘れたままアメリカに移住してしまったために( Ronnie・・・)一時所在不明になってしまい、約20年後に発売されるまで幻のアルバムになっていたものです。

 残念ですが Lane / Marriott の共作曲は無いようで、基本的にはそれぞれの自作曲( "Last Tango In NATO" については Ronnie と、このアルバムに参加していた The Pirates のギタリスト Mick Green との共作であったとされています。なお、The Pirates は1995年のアルバム "Rock Bottom" で同曲を "Aramgeddon" という題で演奏しています。)を交互に歌うという形になっているようです。また、参加メンバーには Slim Chance 組は入っておらず、Marriott のバンドを土台にしているようですが、Ronnie の一連の作品と比較しても違和感は全くありません。

 Ronnie の死後、いろいろな音源が発掘されCDとして何枚も発売されましたが、個人的にはそれらの中でも特に好きなアルバムの一つです。病は進行していても Ronnie の曲作りの力は衰えてはいませんでした。"Lonely No More" で聴けるような Steve Marriott の強烈な熱血親父ボーカル(「うおおぉッ、ロンリィ、ノーモッ!!」)もかっこいいし、"Ruby Jack" などは病気のせいか Ronnie の声が以前に比べ明らかに弱々しく感じられるのですが、それがかえって泣けます・・・。