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開店休業の記

今日の音楽 ー 妙なところで再会

Different Every Time

 なぜか、Robert Wyatt です。この人は大昔、ラジオで聴いて「良さそう」と思い、"Rock Bottom" というアルバムを買ったことがあります。実際、なかなか良かったのですが、あまり印象は強くはなく、その後、ほぼ忘れていました。

 最近、ひょんなところ(Faces の "A Real Good Time : Transmissions 1970" で Ronnie Lane とクリスマスキャロルを歌ってた)で聴く機会があり、思い出しました。それでもうちょっと聴いてみようと。

 "Different Every Time" 、2014年の2枚組編集盤です。1枚めがメンバーだった Soft Machine・Matching Mole 両バンドとその後のソロ作から、2枚めは他のアーティストとの共演作からと幅広く選曲しています。

 なんだろう、このクセのあるメロディ、曲展開は。同じロックと申せども、Chuck Berry なんかとはほとんど御縁がなさそうな。説明しにくいんですが、素直じゃないんですな。

 そういえば若いころ、彼のお仲間だった Kevin Ayers もそういう感じ、ありました。普段、こういう音楽を聴いていないのもあるのでしょうが、時々、なんとなく馴染めない、居心地がよくない。

 その一方で奇妙な魅力のある人で、捨てがたい。素敵な歌声、美しい曲もあるんですよ。"The River" とか、いいもんな。ホントにどうしたもんだか。

今日の音楽 ー やさしい Ray Davies

Americana

 たまたまネットショップで日本盤が割引価格で売ってたもので、Ray Davies の2017年のソロ作 "Americana" です。熱の感じられない購入ですが、The Kinks ではなく、ソロというのでは今一つ食指が動かなくてねぇ・・・。

 それにしてもタイトルにめっちゃ違和感です。あの大英帝国偏屈男・Ray Davies が、こともあろうに "Americana" ?

 本人の言葉によれば、本作は「アメリカという国をテーマにしたアルバムというわけではないし、"アメリカーナ" と呼ばれる類の音楽に焦点を当てた作品というわけでもない」ということです。彼が幼いころ、映画や音楽を通じて憧れた夢のアメリカ。実際のアメリカがそうでないことは今ではわかっているけれど、あのころの夢のような明るい未来を表現してみたかった、ということだそうです。

 こういう感覚、今の10代、20代ではなかなかわかりにくいと思いますが、日本でも上の世代は持っていました。Ray Davies より少し年上ですが、わたしの父が古いアメリカ映画を観ながら、「こんな豊かさがうらやましかった、憧れだった」とつぶやいていたのを思い出します。

 バックをアメリカのロックバンド・The Jayhawks が務めています。そのため、ソロ作なんですが、バンド的な音に仕上がっています。

 メロディは聴けば、なるほど Ray Davies だなといういつもの感じ。なのに、アメリカのバンドの音にピッタリ合っているのが不思議。

 そしてノスタルジック。昔っから懐古趣味があった人ですから、それが本作にもあふれていても不思議ではないのですが、なんだかとってもやさしい感触です。こんな Ray Davies 、初めてじゃないかな。

 The Kinks 的ひねくれを感じさせない、素直なやさしさが心地よいです。たまたま買ってよかった。

今日の音楽 ー 続・弦楽四重奏によるフォークソング

Long Time Passing

 弦楽四重奏楽団の Kronos Quartet は2017年にゲストボーカルを招いてフォーク系の曲のカバー集 "Folk Songs" を出していますが、今回はその続編的な作品にあたるのでしょうか。アメリカのフォーク中興の功労者とされる Pete Seeger を取り上げ、ゲスト多数のためか、今回は Kronos Quartet And Friends 名義です。2020年の "Long Time Passing" です。

 Pete Seeger については詳しくないのですが、聞き覚えのある曲がいくつか。The Byrds で聴いた "Turn, Turn, Turn" や中学の英語の授業で歌わされた "We Shall Overcome" 、"Where Have All the Flowers Gone?" も Pete Seeger でしたか。

 こういう素材を有閑婦人らが優雅に談笑されるカフェ向けっぽく、おしゃれクラシック風に演奏された日にはすっごいヤな感じなんですが、彼らはそうなりませんね。むしろ、そこはかとなく尖っています。偉い。

 前作に引き続き Sam Amidon が参加してますね。Aoife O'Donovan もいるじゃないですか、"Kisses Sweeter Than Wine" 、よいです。

今日の音楽 ー 8時間聴いて

Hard Luck Stories 1972-1982

 重量級です。昨年2020年に出た Richard & Linda Thompson のCD8枚組ボックスセット "Hard Luck Stories 1972-1982" です。内容はオリジナルアルバム6枚にボーナストラックを追加し、さらにデュオ結成前の前史的楽曲を集めた編集盤にライブ盤各1枚と、かつての Thompson ご夫妻のお仕事を網羅しております。

 Richard Thompson 翁の作品はソロを中心にそれなりに聴いてきたんですけど、このボックスセット以前に Richard & Linda Thompson 名義のアルバムはほとんど聴いていなくて、"Shoot Out The Lights" だけでした。最初にご夫妻名義のをどれか聴こうかなと思った時、最後の作品である "Shoot Out The Lights" が特に評価が高かった(米・Rolling Stone 誌の「1980年代ベスト100アルバム」の第9位!など)ので聴いてみたのですけど、その期待ほどには良いとは思えなかったのです。

 収録されている楽曲に当時あまり魅力を感じなかったってのもありますが、それより正直、このアルバムでの Linda の歌は平板で堅苦しいという印象(結婚生活がすでに破綻していたという時期で、彼女の精神状態が出ていたのかもしれません)で好きではなかったのが大きかったです。その後で聴いた Fairport Convention での Sandy Denny と比べても「ちょっとな・・・」という感じで、残りのご夫妻名義のアルバムは聴く気がなくなってしまった、というところです。

 なので、このボックスセットもねぇ、それなりのお値段ですし、買おうか買うまいか、だいぶ迷ったんですけどね。結局、ボックスセットは買い逃してしまうと後になったら入手困難になることが多くて後悔するかもしれないし、聴いたことあるのは1枚だけだからムダは最小限で済むしな、というかなり後ろ向きな理由で決断しました。

 で、せっかく買ったものですから、聴いてみました、タップリと。

 結果。

 ごめんなさい、Linda 。もっと早くに聴いておけばよかった。

 人の心を揺さぶる歌唱という観点ならやはり Sandy Denny の方が、とは思うのですが、Linda の良さは初期の、むしろ軽快で明るくて、実は ABBA の曲なんか歌っても似合うんじゃないかっていう、程よくポップな愛らしさにあるんではないかと。実際、Grand Funk や Kylie Minogue も歌ってヒットさせた "The Locomotion" とかカバーしてるんですぜ。ひょっとして翁が Watching The Dark な世界へ引きずり込んだのか?

 にしても、買ってよかった。特にデュオとしての1枚めの "I Want To See The Bright Lights Tonight" と2枚めの "Hokey Pokey" が好きです。曲なら "Hokey Pokey Song (The Ice Cream Song)" に "Night Comes In" 、"Layla"( Eric Clapton じゃないよ!)とか、他にも多数。

 "Shoot Out The Lights" も久々に聴き直してみると、けっこう良かったです。でも、このボックスセット収録アルバムの中では、評価はやっぱり下の方。自分の好みと権威筋のランク付けは別物だから、参考にしても鵜呑みにするんじゃないよ、という教訓。また一つ賢くなってしまったぜ。

 気になったのは、1枚めのタイトルが "I Want To See The Bright Lights Tonight"(今夜、輝く光が見たい)だったのに、最後のが "Shoot Out The Lights"(その光を消せ)というのは、つまり・・・、考えるのがちょっと怖い。

今日の音楽 ー やっぱり今更(笑)

Hunter And The Dog Star

 続くなぁ。Edie Brickell & New Bohemians も新作が出ました。"Hunter And The Dog Star" です。

 何、このハデハデな音は? 1曲めの "Sleeve" はPINKをバックに Edie が歌ってるみたいだし、次の "Don't Get in the Bed Dirty" の音はシンセが控えめになった Duran Duran のよーだ。今回も、おいおい、どうした?

 前作でもファンクやブルース・ロックっぽいのがあって意外だったのですが、今回はそれ以上に変化した印象です。リズムや音の処理が現代化され、何ていうんだろ、メジャー路線というか、けっこうブチかましてます。前作から Kyle Crusham って人がプロデューサーやってるけど、その影響かな? 音が若いわ。でも、無理してやっている感じはありません。

 もともとは手作り感あるほのぼのロック、という印象の人たちだったんで、昔からのファンはついていけるだろうか? 心配だ。

 前世紀だったら「売れ線狙いかよ!?」とか批難されてたかもしれませんが、今はそういう時代じゃないし、この人たちだとその「今更」な感じが、むしろらしくて許せます。

 わたし、実は本作、かなり好き。音が生き生きとしていて楽しそうだし、親しみやすさは健在なんですよね。

 音がデビュー当時とは大きく変わった一方、Edie の歌い方や声は変わってません。逆に不思議かも。それでこの音にも合うってのも、おもしろいところ。

今日の音楽 ー 破調

Sam Amidon

 Sam Amidon も去年新作を出していました。セルフタイトルで "Sam Amidon" です。

 最初の曲 "Maggie" から予想外の、デジタルっぽい異色のリズムで攻めてきます。おいおい、どうした?

 他の曲でも "Maggie" ほどではないにしても、特にアルバム前半はシンプルな "Bright Sunny South" とは明らかに異なる作り込んだ音に変化しています。

 曲は全部伝承曲なんだそうですし、ちょっと沈んだ感じの本人の歌い方は "Bright Sunny South" と変わりません。なんだかんだでアコースティック楽器が演奏の中心であることも、フォーク系らしいのですが、その範疇にとどまることを潔しとせず、新たな可能性を手探りしているようです。

 フォーク/トラディショナル系の音楽にもこういう方向性、あるわけですね。おもしろい。もっとやってみて!

今日の音楽 ー 寒さがやわらいで

raula

 piana の新作が今年出ました。"raula" です。"Muse" 以来7年ぶり。

 今回、歌詞は全て造語だそうです。まさか福岡ユタカ的な!?

 違いますね。もともと声質も歌い方も違うし。

 本作はアコースティック楽器中心。透き間が多く、澄んだ音の響きがよくとおる感じです。

 ゆったりしたテンポが多く、リラックスできますが、ダラっとした音ではありません。引き締まってます。

 造語での歌はとても自然。時々教会音楽っぽく聴こえたり。

 歌詞が日本語ではないので、余計に音で喚起されるイメージがどんなものになるかで作品の印象が左右されることになりますが、そこはやはりこの人ということなのか、清冽、そしてさみしげ。

 本作も過去に聴いた作品同様、イメージは冬、ですね。ただ、今回は真冬ではなく、そろそろ春が近づいてきた頃、という感じがあります。微妙な違いですけど。

音楽収納に問題発生

 2014年11月から2015年1月まで実施された音楽収納計画により、既存の全音楽CDのハードディスク取り込みが完了し、その後は入手するごとに取り込んでいます。

 Asunder というツールを当時から今でも使っています。このツール、フリーのCDデータベースからアルバム名・曲名を(あれば)取得してくれて取り込んだファイルの名前につけてくれるという便利な機能があって重宝していたのですが、いつのまにかアルバム名・曲名が全然取得されなくなりました。

 最初は「このCD、データがないのかな?」と思っていたのですが、何枚取り込みかけてもどれも取得されず、当然データあるだろうと思われる超有名どころもダメとなって、ようやく何かがおかしいことに気がつきました。

 参照していたCDデータベースが閉鎖されてしまったんですね。

 不便なので代替がないか、探してみました。いくつかあるようで、今、わたしは GnuDb.org を使っています。

 Asunder で使うには、メニューバーの「設定」をクリックして設定画面を開き、「詳細」タブの CDDB の「サーバ」に gnudb.gnudb.org を、「ポート」に 8880 を指定します(下の画像参照)。

Asunder の設定

 これでCDの情報が(あれば)また取得できるようになりました。

 CDの情報取得についてはこれで一応問題が解決しましたが、さらに厄介な問題・取り込み時のエラー発生も最近何度か起きています。今日も発生・・・。

 こちら、以前はドライブの問題かと思ってまして、確かにそれも無関係ではないらしいのですが、むしろディスクに問題がある方が多いらしいことがわかってきました。特に外周部、CDの容量めいっぱい使っている場合の終わりの方のトラックで発生することが多いです。

 今、USBのドライブを2台使ってまして、一方でエラーが発生する時はもう一台に切り替えて、それでうまくいく時もあります。が、うまくいかない時もあります。ディスクのホコリを払ったり、ドライブにクリーナーをかけたりで、繰り返しているうちにうまくいく時もあります。が、やっぱりうまくいかない時もあります・・・。

 調べてみると、ドライブの速度を落として取り込みすれば成功することがあるようです。でも、Asunder には読み込み速度を調整する機能はなさそうで、どうしたもんか・・・。

 しかたなく、別のツール・cdparanoia を使ってみました。

 コマンドラインで使うツールで、ちょい、わかりにくい。

 詳細は上記リンクを参照していただくとして、わたしが使った時の例が以下。

cdparanoia 実行

 オプションの -B はこの場合、多分不要でした(ディスク全体を取り込む時に必要らしい)。

 オプションの -v は処理の詳細表示を出力する場合につけます。見たくなければこれも多分不要。

 オプションの -S がドライブからの読み込み速度設定です。この場合、直後に 1 を指定しているので1倍速での読み込みになります。

 最後の数字 14 が取り込み対象のトラック番号です。

 2、3度やり直しになりましたが、今日のところはこれでうまく取り込めました。やれやれ。今後もこれでなんとかなればいいんだけど。

今日の音楽 ー 久々に熱血

Black Pumas

 やはり KUTX でよくかかっていて気に入ったグループです。2019年に出た Black Pumas の同名デビューアルバム、に11曲入りのCDを追加して2020年に出た2枚組デラックス・エディションです。

 Black Pumas 以前にグラミー賞を獲得するなど実績のあったギタリスト Adrian Quesada と 新進ボーカリスト Eric Burton( The Animals の Eric Burdon じゃないよ、一文字違い)の二人組です。彼らもオースティンを活動拠点にしています。おおっ。

 ジャンル的にはサイケデリック・ソウルってことですが、現代のグループってことでそれにとどまらない様々な音楽の影響がそこかしこに感じられます。

 しかし、彼らの魅力は音楽スタイルではなく、なんといってもイキのよさですね。オーソドックスによいメロディに生々しく人の熱を感じる演奏。そして、感情をたたきつけるような Eric Burton の歌声が良いです。最近、妙に賢くなりすぎたような音楽が多い中、演者の情動が音を引っぱっています。こういう新人は久々という気がしますし、こういうのを待ってました。

 "Black Moon Rising" 、"Colors" といったオリジナルの秀れた曲で固めた本来のデビューアルバムの1枚めはもちろん良いのですが、カバーやスタジオライブを収録する2枚めも単なるオマケにとどまらない濃い内容です。

 しんみりする Tracy Chapman の素直なカバー "Fast Car" では力押しだけではない表現を見せてくれます。しかし、なんといっても "Eleanor Rigby" ! Sir Paul McCartney 作・弦楽八重奏による原曲の端正なイメージを、木っ端微塵にするブチかましノリです。"Eleanor Rigby" でこう来るとは、かっちぇー。

 早くも次作が楽しみなデュオです。

今日の音楽 ー 6時間聴いて

Audio Diary 2014-2018

 今はあんまり見ませんが、以前はロック初心者向けの「まず、コレを聴け!」ってな名盤選の本や雑誌の企画がありましたな。今ほど、手軽に聴ける音源も、そもそもどんな音楽が存在しているのかっていう情報にも乏しかった時代には、それなりに役に立つものでした。それなりにね。

 当然、The Beatles とかは必ず入っているわけですが、考えてみたらいくら初心者でもそのへんは教えてもらわなくても知っているわけで、つーか、ロック好きでない人でも知ってたりするわな、むしろいらんかったんじゃないの、とか、いまさら思いますが、それはどうでもいいとして。

 そのへんは別として、ロックに興味がない人はともかく、ロックの世界に足を踏み入れるなら「必ずおさえておかねばならぬ」ってな感じで、どんなロック名盤選にも含まれていたアルバムがいくつかありました。その一つがかの King Crimson 、デビュー作の "In The Court Of The Crimson King" でございます。

 ということで、わたしもロック初心者時代に「とにかく聴かないといけないのね」と聴いてみました。確かに強力な個性を持った音楽ではありました。でも、同時にわたしの前を素通りしていく音楽でもありました。あれっっっ?

 お好きな方なら、いや、そうでなくとも、この強力な音を聴けば必ず巻き起こるのではないかと思われるなにがしかの感興が、一切なかった・・・。世の中にはタマネギ刻んでも目が痛くならない人がいるらしいですが、そんな感じ・・・、いや、全然違うか。単純にわたしの耳が腐ってる? ええ、そうでしょうとも。

 しかし、たまたま相性が悪かったということもある。あれだけ評価の高い King Crimson 、他にも名盤多数ということですし。

 と、しばらくたってから別の作品を聴いてみることにしました。"Red" です。70年代最後のスタジオアルバムにして、傑作と誉れ高き "Red" ですよ。

 で、当時のわたしが聴いて何を感じたかというと・・・、ダメだ、なんにも思い出せん。収録曲名、一つも出てこない。

 ・・・。

 月日は流れて。

 わたしもいろいろな音楽を聴き漁り、まあ初心者ではなくなったとは思います。じゃあ、中級者か上級者になったのかと言われれば、答えに窮しますが。ロック中級者、上級者ってどんな人のことなんでしょうね?

 風の便りに耳をすませば、King Crimson 、現在も活動中のよし。なんとっ!

 精進した今のわたしなら、彼らの素晴らしさが理解できるかもしれない! ということで気合を入れて買ってみました。"Audio Diary 2014-2018" です。ライブを活動の中心に据えた近年の集大成的なセットで、2014年から2018年までの選ばれたライブ演奏曲を収めた、各年ごとのCD5枚組という重量級。これをガッチリ聴いてなおかつ何も感じないというなら、わたしは King Crimson とは御縁がないということでしょう。

 結果、御縁、なかったみたいです。