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開店休業の記

今日の音楽 ー おクスリの魔力

The Piper At The Gates Of Dawn

 なんと15年ぶりで Pink Floyd を取り上げます。モノは彼らのデビューアルバム、1967年の "The Piper At The Gates Of Dawn" です。

 Pink Floyd っつーと、わたしは1970年代のアルバムはそこそこ聴いているのですが、それ以前はサッパリ。なのに、今さら本作を聴く気になったのは、"Ogden's Nut Gone Flake" について Ronnie Lane が「みんなにこれは Sgt. Pepper に影響を受けたのかって訊かれるんだけど、オレたちはむしろ "The Piper At The Gates Of Dawn" の方が好きなんだけどな」と話していたということを、少し前に知ったからです。

 この当時の Pink Floyd というと、ロックの伝説上の人物の一人・Syd Barrett が率いており、プログレッシブ・ロックというより、サイケデリック・ロックという方が適切かと思います。

 聴いてみると「ああ、なるほど」と思いました。たしかに "Ogden's Nut Gone Flake" は "Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band" より、こっちに近いです。

 ただ、作品としてはわたしの苦手な部類に入ります。サイケ感覚という点は似通っていても、なんだかんだで陽気な Immediate 時代の Small Faces に対し、こちらはヤバい。より病的といいますか。じっさい、Syd Barrett はあちらの世界の人になってしまったという話だし。

 Ronnie Lane は先の言葉に続けて「当時のオレらに影響を与えていたのは、なんといってもドラッグだったからさ」と言ってます。この作品はドラッグやってた人とか、やってなくても生来サイケに共感をおぼえるような資質の人にはより訴えるものがあるかもしれませんが、わたしはどっちでもないしなぁ・・・。

昨日の映画

イニシェリン島の精霊

 新聞の映画紹介で、内戦期のアイルランドのある島を舞台にした映画が公開されている、ということを知りました。つい最近、『アイルランド現代史』という本を読んだばかりだったので、「これは観といた方がよいだろうな」と、昨日、急遽レイトショーを観に行ってみました。『イニシェリン島の精霊』、2022年製作です。

 イニシェリン島に住む男・パードリックは年長のフィドル弾き・コルムと仲がよく、いつもパブで一緒に飲んでいたのだが、ある日、突然、絶縁を突きつけられる。理由が思い当たらないパードリックはひどく動揺し、関係を修復しようとするが・・・。

 わ、わからん・・・。

 こんなにわからない映画もちょっと記憶にないです。表現手法が難解なのでわからない、というものではないです。表面的に要約すれば、閉鎖的な地域の中でのこじれた人間関係を描く、というもの。そういう風に言ってしまえば特異なテーマではないでしょうし、理解しづらくなるようなものでもないような気がするのですが、しかし、わからん。

 アイルランドの内戦とも関係あるのか、ないのか・・・。

 おもしろかった、とは、とても言えないのですが、かといって、全然つまらなかったというものでもない・・・。島(イニシェリン島というのは実在していない創作上の島で、撮影はアイルランド西部の2つの島がロケ地として使われたそう)の寒々とした風景や俳優陣(パードリックは、Oasis の Gallagher 兄弟を思いっ切り情けなくしたような顔立ち)の演技は印象的でしたし。

 海外では好評のようで、あちらの人なら琴線に触れる何かがあるのでしょうか。

 わからん。

今日の音楽 ー 変化は難しい

あみこねあほい

 去年『DISCOVER NEW JAPAN 民謡ニューウェーブ VOL.1』収録曲や『遊びましょう』を聴いて気に入った馬喰町バンド、また聴いてみました。『あみこねあほい』、2016年発表の5作目のアルバムで『遊びましょう』の次作になります。

 一聴して音が厚くなった感じ。一曲めがラップだったり、変化を求めた気配があります。そういう時期だったのかな?

 ただ、それがうまくいっているかどうかとなると、う〜ん、わたしの評価は今一つ、になります。

 音が厚くなった分だけ、前作の軽やかさが失われ、若干迷いも感じる風に聴こえます。

 でも、新たなことに挑戦するならそういうこともよくあるし。おもしろいバンドであることには変わりがありません。

 次作も聴いてみます。

今日の音楽 ー 本場!

Gamelan & Kecak

 もう10年も前に芸能山城組のアルバムを取り上げたことがあります。

 最近、ふと思い出し、あの作品はインドネシアの民族音楽「ガムラン」を取り入れていて、そこが魅力だったのですが、「そういえば本場のガムランをちゃんと聴いたことはなかったな」と気がつきました(スゲぇ今更・・・)。そこで調べて本場インドネシア・バリ島で収録されたアルバムを買ってみました。

 "Gamelan & Kecak" です。収録されたのは1987年。

 鉄琴のようでもあり、オルゴールのようでもある独特の楽器の音が好き。曲によっては日本のお祭りのお囃子みたいなのもあり。でも、リズム感が違うなぁ。アイヌのムックリみたいな音も聴こえてきます。グンゴンというんだって。ムックリと同じ口琴の1種らしい。他の国の音楽でも似た感じのを聴いたことがあります。こういうのって世界的な共通文化なのかしら?

 一番気に入ったのは、"Kecak" 。80人の大編成で複雑な構成、「チャッ、チャッ、チャッ」という叫びは迫力があります。

 これは良いな。

 本作は、アメリカのレーベル・ノンサッチが1960〜80年代に行った民族音楽のフィールド・レコーディングの成果をまとめた「エクスプローラー50+」というシリーズの一つです。このシリーズのサイトを見てみたら、他にもいいのがありそう! どれか聴いてみます♪

今日の音楽 ー 新バンドだ

Ginger Wildheart & The Sinners

 The Wildhearts は去年アルバムを出しましたが、その中心人物・Ginger Wildheart が別のバンド名義でアルバムを出しました。Ginger Wildheart & The Sinners の同名作、出たばかりです。

 これ、The Wildhearts より Ginger のソロ・"Ghost In The Tanglewood" に近いです。メタルやノイズの要素はほぼないです。"Ghost In The Tanglewood" のバンド・バージョンっぽいと感じました。

 ソロではなく、バンドなので、Ginger の心情が色濃く出た "Ghost In The Tanglewood" に比べると、彼の個人的な色彩は後退し( Ginger 以外のボーカルが聴こえてくることもあるし)、カントリー寄りになった Georgia Satellites(カバーあり)のようでもあります。

 わたしの感想は、悪くないけど "Ghost In The Tanglewood" がとても良かったので、あれには及ばない、でも The Wildhearts の直近作・"21st Century Love Songs" よりはいい。う〜ん、びみょ。

今日の音楽 ー 1枚め、飛ばしちゃったよ

External Combustion

 公式に解散宣言を出したということはないようですが、2017年の Tom Petty の死をもって The Heartbreakers は活動停止、再開は考えにくい状態です。

 残されたメンバーの一人、ギターの Mike Campbell は一時、Fleetwood Mac に参加していましたが、現在は自身のバンド・The Dirty Knobs との活動の中心にしているようです。このバンドは Tom が亡くなるずっと前に結成されており、元々は Mike の趣味的な音楽表現の場だったらしいです。

 2020年にファーストアルバムを出していて、その時は「(当然)Tom 抜きだからなぁ、どうしようかなぁ・・・」と思っているうちに買いそびれて、いつのまにか2枚めが出てしまいました。しかも、今回 Ian Hunter がコーラスでゲスト参加だって。・・・、買っとこう。

 Mike Campbell & The Dirty Knobs の今年出たアルバム、"External Combustion" です。

 曲は全曲 Mike Campbell の自作で、ギターとリードボーカルを担当。1曲、旧友の Benmont Tench がピアノで参加。

 この音は・・・、ギターがもろ The Heartbreakers じゃん! さすが同一人物。そっくりだ。

 曲調も The Heartbreakers を思い出します。The Heartbreakers からフォーク、ポップ成分を大幅カットして、ロックンロール重点強化でギターを思いっ切り前面にと。なんか、すっごくわかりやすい展開だぞ、Mike 。

 注目したのはボーカル。The Heartbreakers で Mike は多分、リードボーカル取ったことはないと思います。聴いてみると、これが ( Tom Petty + Bob Dylan ) / 2 みたいでして。この音でこの声かい、出来過ぎのような気もしてきました。

 The Heartbreakers における彼の貢献度の高さを再認識させられる作品ですが、ひょっとして、根がとても素直な人なのか。

昨日の映画

グリーン・ナイト

 昨日、12月1日は映画の日(割引の日!)。平日ですが、家から30分ほど(自転車)のところにある映画館で、ちょっと気になっていた映画がレイトショーでやっていたので、仕事の後、家で夕ごはん食べてから観に行きました。珍しいパターンだ。

 『グリーン・ナイト』、2021年制作でアメリカ・カナダ・アイルランド合作です。

 『指輪物語』などで知られるトールキンが現代英語に訳した中世騎士物語を、『ア・ゴースト・ストーリー』のデビッド・ロウリーの監督で映画化したものだそう。『指輪物語』は大好き、『ア・ゴースト・ストーリー』も観ていた、というので観に行く気になったわけです。

 伝説の英国王・アーサー王の宮廷でクリスマスの宴が行われていた。そこへ全身緑の異様な騎士が突然闖入し、居並ぶ騎士たちを挑発する。王の甥・サー・ガウェインがその挑発に乗ってしまったことから、彼は奇妙な旅に出なければならなくなる・・・。

 う〜ん、先に言っとくと、誰にでもオススメできるような映画ではありません。トールキン関連だからって『ロード・オブ・ザ・リング』みたいなエンターテイメント性は全然ないので、そういうのを求めている人には多分まったく向かないと思います。監督が『ア・ゴースト・ストーリー』の人だったので、わたしはそこは全然期待していなかったのですが、それにしてもよくわからん・・・。

 『ア・ゴースト・ストーリー』もわかりにくい映画でしたが、映像でも言葉でも端的に説明するのが難しい「何か」を間接的な表現の積み重ねで伝えようという意図が感じられました。しかし、本作は作り手の方も自分が何を語りたかったのか、よくわからなくなっているのではないかという疑いが・・・。

 といって途中で寝ちゃうとか観るのやめちゃうとか、そういうまるっきりつまんない映画でもないんですよね。なんだかんだで画面は美しいし。古の欧州っぽい重っ苦しい石造りの館とかお天気悪くて寒々とした野原とか、堪能してしまいました。

 どうにも評価に困る映画でした。

 蛇足。

 入場してみたら、こんな状態でした。

館内

 誰もいやしねぇ。

 せっかくなのでスクリーンの前でダンスでも披露し・・・、やめろ。

 結局観客は他に4、5人。レイトショーだしね。

今日の音楽 ー 取扱注意の気配

Sometimes, Forever

 今回は新規開拓。Soccer Mommy 、今年出た3枚目のアルバム "Sometimes, Forever" 。バンドっぽい名前ですが、アメリカの女性シンガー・ソングライターの Sophia Regina Allison のステージネームだそうです。

 聴いたきっかけはテキサス州オースティンのラジオ局 KUTX のネット放送で、収録曲 "Shotgun" がよくかかっていて、気に入ったからです。Lianne La Havas や Khruangbin 、Black Pumas と同じパターン。

 女性シンガー・ソングライターといっても現代ロック色が強く、 Joni Mitchell とか連想しないように。

 特に "Shotgun" はそう。PV観たんですが、ここでの彼女はなんつーか、目が据わってる・・・。ほとんど笑顔がありません。とにかくタルそうで不機嫌そうなたたずまいで、目を合わせたら「何、見てんだよっ!」って、キレられそう。この曲、ラブソングなんだそうで(本人がそう言ってます)、歌詞読んでもたしかにそうなんですが、あんまりそんな風に観えない聴こえない・・・。

 「アンタが望むならいつだってそばにいる わたしは合図を待ってる散弾銃の弾丸」

 合図を待ってる散弾銃の弾丸・・・、あんまり日本の女の子の書きそうな歌詞ではないよね。

 でも、アルバム通して聴いていると、若い女性らしい繊細な感傷が伝わってくるという。なかなかややこしそうな個性の持ち主とみましたが、ちょっと気に入っちゃったぞ。

 "Bones" と "Feel It All The Time" も好き。

 なぜか Paul Westerburg を思い出しちゃったけど、なんでだろ。

今日の映画

マイスモールランド

 先月の『タレンタイム~優しい歌』に続き、同じ都内の小規模映画館でちょっと気になっていた映画を見てきました。

 『マイスモールランド』です。2022年、今年公開でわたしにしては珍しい日本の作品です。

 日本に逃れてきたものの難民認定を受けられなかった埼玉県在住のクルド人家族、進学をひかえた高校生の長女を中心にした物語です。

 日本の映画で情報はわりとあると思うので、あらすじは省略。

 多分そうだろうなと思っていたとおり、キッツい映画でした。時々画面を見るのが辛くなりました。例えるならケン・ローチ作品的キツさです。観る価値のあるキツさです。ホントにキツかったけど、なんとか耐えました。

 思い出すのはしばらく前、たまたまつけたテレビで不法就労している外国人の支援をしているという人の言葉。「日本はやることが汚いよ、景気が良くて人手不足だったころは働いていても知らん顔してたくせに、都合が悪くなると追い出しにかかるんだから」

 ウチの周辺は中小の工場が多いのですが、そのころ(バブルのころ)、明らかに外国出身とおぼしき人たちが働いているのを何人も見ました。無知ではあったものの日本が基本的に外国人労働者を受け入れていないことぐらいは知っていたので、「あの人たち、どういう資格で日本に来たんだろ?」と不思議に思ったのをおぼえています。確かに取り締まる気があれば簡単だったはず。

 汚い。否定できないですね。

 現在、外国人労働者についてはいろいろ議論があるようですが、どうにも割り切れない気持ちが消えません。

 この映画が気になったのは、舞台が川口市だということ。わりと近いんです。劇中、象徴的に使われている橋、あれは川口市と東京の赤羽をつないでいる新荒川大橋ですね。説明がなくてもすぐわかりました。よく通っているので。街の感じもウチの周辺と共通してます。

 あと、長女の彼氏役の人、そのへんのただの若いおニイちゃんという風でかえって好感持てました。

今日の音楽 ー 都会でも似合うと思う

たからかぜ

 アラゲホンジです。今年聴いたコンピレーションアルバム、「DISCOVER NEW JAPAN 民謡ニューウェーブ VOL.1」と「ザ・ラフ・ガイド・トゥ・知られざる日本音楽」の両方にアラゲホンジの曲が収録されていまして、そういや『はなつおと』以外のアルバム、聴きそびれていたのを思い出し、もう1枚いってみました。『はなつおと』の前のアルバム、2013年、『たからかぜ』です。

 改めて聴いてみると、民謡の要素を濃厚に含んでいても泥臭さより洗練されているという感じのほうが強いです。音の処理なんかは都会的でオシャレっぽい。レゲエやジャズっぽい音も聴こえてきたり。そこに篠笛が入ってきたりするのですが、全然無理がない。けっこうスゴいことかもしれない。

 あらっ、馬喰町バンドのメンバーも参加してるじゃない。

 「前はう〜み、後ろは・・・」って、関東育ちのわたしは某温泉ホテルのCMソングだとばっかり思ってたん(ちょっと恥ずかしい)ですけど、元歌は『斎太郎節』っていうのね。勉強になります。