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開店休業の記

今日の音楽 ー この路線?

Polaroid Lovers

 Sarah Jarosz の新作が出たというので聴いてみました。今年1月発表の "Polaroid Lovers" です。彼女は久しぶり。2020年の "World On The Ground" 以来です。2021年には基本デジタル配信のみで ”Blue Heron Suite” という作品を出していたそうなのですが、最近まで気がつかなくてわたしは未聴です。

 1曲め "Jealous Moon" で、エレクトリックギターがギャンギャン鳴ってって、ドラムもドカドカで、いきなり驚き。

 "World On The Ground" やそれ以前のアルバムの中心であったフォーク/カントリー寄りの曲もあるんですが、全体を通してもロック色が非常に強く出ています。それもオルタナティブ以前のアメリカンロックに近い感触で。

 それもあってか、輪郭が強調された感じを受ける曲が増えまして、これまでの彼女がやや渋めの立ち位置だったのを、より一般にアピールできるようにという音を狙ったのかしら。

 ジャケ写の彼女が、以前とずいぶん雰囲気が変わっていたので、聴く前から、「これは路線変更してくるかな」とは思っていたのですが、はっきりと変えてきましたね。

 今回、全曲が彼女と他の人との共作になっています。カバーも Sarah Jarosz 単独名義もなし。そのあたりも変化を強く意識していたようにもとれます。

 ほとんど印象に残らなかった "World On The Ground" に比べて、こちらの方がずっと好みは好みなんですが、その一方で「この路線でよかったんかな?」という戸惑いも感じています。

昨日の映画

COUNT ME IN 魂のリズム

 久しぶりに都内に出て映画を1本。

 『COUNT ME IN 魂のリズム』、ドラムに焦点をあてた音楽ドキュメンタリーです。2021年、イギリス製作。

 ロックも時を経て歴史的な文脈で語られるような時代になったということなのでしょうか、最近、様々なドキュメンタリーが次々と出てくるようになった気がします。本作は、ボーカルやギターと比べれば、どうしても「縁の下の力持ち」という地味ぃ〜な印象のドラムが主役で、こういう作品が出てくる、というところが、つまり、その時代を感じるところであるわけでございます。

 基本的には、名ドラマーたちの演奏シーンとインタビューをつなげたものです。ほぼ、それだけ、って言ってもいいかも。映画としてはあまり工夫が感じられません。厳しく言うとね。

 でも、続けざまにスタイルの異なるドラムの演奏を聴き、嬉々としてドラムについて語るドラマーたち(特に "No, No!" と叫びながら茶目っ気たっぷりの Stewart Copeland 、いいっす)を見ていると、理屈抜きで「た〜の〜し〜い!」。作品の完成度とか、とりあえず置いといていいや。

 ベース編とか期待。

今日の音楽 ー これも10年以上前ですが

These Wilder Things

 The Wailin' Jennys はどうしてんのかね、と思って調べてみたんですが、やっぱり2017年の "Fifteen" 以来、新しいアルバムは出ていないようで。

 代わりって言ったらなんですが、メンバーのソロ作を聴いてみることにしました。

 Ruth Moody の2013年のアルバム "These Wilder Things" です。The Wailin' Jennys の中では高音でちょっと可愛い感じの声の人。

 ギター、バンジョー、マンドリンといったアコースティック楽器主体。The Wailin' Jennys 同様のフォーク/カントリー系の音楽で、意外性はまったくありません。どうかすると、3人のハーモニー抜きの The Wailin' Jennys みたいな感じでもあります。ただ、 The Wailin' Jennys より、さらに当たりの柔らかい、優しい音です。

 "Pockets" のこのギターは聴きおぼえがあるぞと思ったら、コーラスの声も聴きおぼえがあったりして。Mark Knopfler じゃないすか。

 他に Jerry Douglas や Aoife O'Donovan も参加してます。

 1曲だけ、Nicky Mehta と Heather Masse が参加して The Wailin' Jennys に。

 わたしの好みからすると、ちょっと甘口かなという気がしますが、良作です。

 尖った音より安らぎを求める人向き。

今日の音楽 ー 踊りは如何に?

Qawwali Sufi Music From Pakistan

 ここ、我が住まいのある八潮はパキスタン系の人が多くて、「八潮スタン」なる謎の異名があったりします。パキスタン料理のお店や食材店もあるよ。炊き込みご飯ビリヤーニはスパイスが効いていて、食べるとお腹の中が暖かくなります。

 だからってわけではないんですが、ノンサッチの「エクスプローラー50+」から、今回はパキスタン。

 "Qawwali Sufi Music From Pakistan" 、演者は The Sabri Brothers だそう。1978年に収録されています。

 Qawwali は日本語ではカッワーリーと表記されます。イスラムの一派で神秘主義とされる Sufi(スーフィ)の音楽です。

 地域的にインド音楽とも共通する部分がありそう。複数の男性の力強い歌唱が特徴。神の名を繰り返し唱えるところなど、イスラムの音楽らしく。

 本来、宗教音楽であり、他の地域の宗教と関わりがある音楽と同じく、これ単独で聴くものというより、礼拝儀式や舞踊などと組になるものではないかと感じます。

 特にこの音楽はパーカッシブつーか、手拍子と太鼓で強弱を変化させながら走るリズムが独特で、これでダンス抜きはむしろ不自然、とさえ思えます。決してポップではないと思いますし、わかりやすいとも言えない気がするんですが、魔術的な魅力が潜んでいそうでもあり、お好きな方にはたまらない音楽かもしれません。

今日の音楽 ー もっとできるはず

Chronicles Of A Diamond

 ギタリスト Adrian Quesada と ボーカリスト Eric Burton の二人組 Black Pumas が昨年2枚めのアルバムを出しました。デビューアルバムが2019年なので少し時間がかかりましたね。"Chronicles Of A Diamond" です。

 期待していたのですが、個人的にはちょっと残念な感じ。といって、悪いというわけではないです。作品としてはまずまず。でも、熱血度が後退してしまった感じはあるし、何よりも持てる力の7割程度しか出せていないように思われます。盛り上がれそうなところで、盛り上がりきれていないというか。聴き終わって、歯がゆさが残ります。ほんとにあと少し、なんとかならなかったものか。

 ことに彼らの The Beatles の カバー・"Eleanor Rigby" 、The Kinks のカバー・"Strangers" を聴いているとですね、こんなもんじゃないだろうと言いたくなります。

 でも、どっちもカバーか・・・。そうすると今回、自作曲が弱いということになりそうですが。う〜ん、それはありそう。

 早くも次作に期待。

今日の映画

コット、はじまりの夏

 2月にしては外出するのにいい陽気で、映画を観てきました。2022年・アイルランド制作の『コット、はじまりの夏』です。

 アイルランドの小学生の女の子・コットは寡黙で、農場を営む家でも、学校でも居場所がない。夏休み、母が出産を控えているからと、姉妹の中で一人だけ親戚夫婦の家に預けられる。夫のショーンは無愛想だが、幸い、妻のアイリーンは優しく・・・。

 観終わった時の感想は、「えっ、これでおしまい?」でした。1時間35分と短めの映画だということを差し引いても、あっけない感じでした。もう30分追加して、親戚夫婦とコットの暮らしをじっくり描いたらよかったのにと思いました。平板という印象は拭えませんし、おまけに字幕にも違和感が・・。

 ということで、「これはオススメ!」という感じではないです。でも、不思議に退屈ではありませんでしたし、落ち着いた穏やかな描写・画面が心地よい、そんな映画でもありました。

 コット役の子、線が細くて頼り無げな9歳の少女を好演しています(制作当時の実年齢は12歳だったそう)。カメラが引いて全身が映る場面、アイリーンと手をつないで歩く場面などは、まるっきり子ども子どもした様子なのですが、アップになると驚くほど大人びた顔立ちで、ギャップがすごいです。

コット、はじまりの夏:ポストカード

 忘れるとこだった。ポストカード、もらいました。

今日の音楽 ー 続いているようでよかった

メテオ

 馬喰町バンド、現段階での最新作である『メテオ』を。

 最新作といってもこれ、発表されたのは2017年ですから、それから長らく新しいアルバムが出ていないということになります。前作『あみこねあほい』を出した後、半年で本作を出しているのに、ずいぶんと急停車。

 『あみこねあほい』制作後に太鼓担当のメンバーが離脱してしまったとかで、結局解散しちゃったのかなと心配になって調べてみると、公式サイトは健在のようだし、それによればライブの演奏活動などはしているとのことなので、ようございました。

 本作は一聴して前作にもあったラップ色が濃くなった印象。個人的にその点は可とも不可とも言えない感じです。それに伴ってか、民謡っぽさも若干薄れ、ジャンル混合現代和風バンドポップ(何だそれ)とでもいったらいいのか、そんな方向に進んでいるよう。これはこれでいい感じがします。

 好きな曲はアルバム終盤の「五月」と「マイノリティ」。

 公式サイトを見ると現在はメンバーが増えているみたい。都内でライブの予定もあるみたいなんで、観に行ってこようかしら。

今日の音楽 ー 実はお久しぶり

The Record

 今回は新規開拓かつテキサス州オースティンのラジオ局 KUTX のネット放送で、収録曲がよくかかっていて、気に入ったパターンです。Soccer Mommy なんかと同じ。

 アメリカの女性3人組・Boygenius 2023年のアルバム第1作 "The Record" です。元々ソロで活動していた Lucy Dacus 、Phoebe Bridgers 、Julien Baker は、互いの作品のファンであったことから友人となり、それがこのグループ結成につながったということです。最近、そういうの、時々ありますね。I'm With Her もそんな感じだったし。

 おや、Julien Baker って聴いたことあるぞ。もう6年も前だけど、ここで取り上げたことがありました。

 音はややフォークよりの現代ロックという感じ。元々全員ソロだったというのが意外に思えるくらい、グループとして自然にまとまっています。曲の中でリード・ボーカルが交替したりするところとか、コーラスの部分とか、良い効果が感じられます。3人それぞれ、少しづつ声質、歌い方が違うんですが、いっしょに歌って相性がいい感じ。それも幸いしたかな?

 "$20" で激発してんのは Julien Baker だろうか? この人、ソロでも時々そうだったし。

 一番気に入ったのは、アメリカでヒットした "Not Strong Enough" 。比較的落ち着いた雰囲気の曲が多い中、力の入ったオルタナ・ロック的な曲で、ここは一つ外界に向けて派手めにかましてみましたってな感じ、スタジアム級の大会場でも似合いそう。アルバムの中でもいいアクセントになっています。

 ジャケットに 'Thanks to Paul Simon for inspiration on "Cool About It"' ってありますが、このアコースティック・ギターの感触は確かに Paul Simon ぽい。

 良い作品です。次作もあるかな?

今日の音楽 ー パブ・ロックかどうかはともかく

The Essential Thin Lizzy

 だいぶ間が空きましたが、またパブ・ロックのコンピレーション "Surrender To The Rhythm" 収録アーティストから、気になった人たちシリーズです。

 今回は Thin Lizzy 。Mott The Hoople 同様「この人たちってパブ・ロックなの?」という疑問もあるのですが。パブ回りもしてたらしいけど、アイルランドのバンドだし、大ヒットもあるんだしなぁ。まあ、いいや。

 Thin Lizzy 自体は以前に聴いたことがありまして、代表作の "Live And Dangerous" です。

 非常に良かったです。これはライブ・アルバムでしたから、今度はスタジオ作にしようかと思ったら、この人たち、10作以上出しているので、どれにしたらいいのか、わかんなくなり・・・。また編集盤にしました。3枚組の "The Essential Thin Lizzy" です。

 これもいいですね。時々あるメタルっぽい音は好みじゃないですが、エネルギー持て余し、肩に力が入りまくり、無闇矢鱈と意気がった若い衆による、ケレン味たっぷりのロックンロール! いや〜、派手派手、派手にかましてるわ(笑)。今聴くと微笑ましいくらいですが、「70年代はこうじゃなくちゃね!」とか、意味不明に讃えたくなります。

 そうかと思うと "Dancing in the Moonlight (It's Caught Me in Its Spotlight)" とか "The Sun Goes Down" とか、単なる熱血単細胞ではできないヒネリを見せてくれるのも素敵。

 "Whiskey In The Jar" はクレジット見ると、伝承曲が元らしいです。このへんもアイルランドのバンドらしくていい感じ。

 レーベルをまたいだ51曲収録。時代順になってない曲の並びは若干疑問ですが、代表曲はほぼカバーされているらしいです。ボリュームたっぷりでも、胃もたれする感じはないし、聴き飽きない。リーダーの Phil Lynott の生前に聴く機会はなかったのですが、良いバンドだったのですね。

今日の音楽 ー 今日にふさわしい音楽

Music Of The Chinese Pipa

 明けましておめでとうございます。またノンサッチの「エクスプローラー50+」から。

 今回は中国から。"Music Of The Chinese Pipa" 、中国の琵琶の音楽です。演奏者は江蘇省出身でアメリカに移住した Lui Pui-yuen(漢字では呂培原と書くようです)。1979年アメリカで収録されたもの。

 このシリーズの他のアルバムとは異なり、なんだか聴き覚えのある音です。もちろん、もともと日本の琵琶は中国を経由してやってきたものですから、当然ですが。

 元日、休みの。外から何も音が聞こえない静かな日に、ピッタリのシンプルで格調ある響き。たまたまでしたが、良い時に聴きました。気ぜわしい時だったら合わなかったかも。音楽は場面を選ぶものですね。