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開店休業の記

今日の音楽 ー 今年も秩父には行けそうもないけれど

CHICHIBU

 埼玉県秩父のギタリスト・笹久保伸の新作が出ました。"CHICHIBU" です。

 彼は以前、「秩父遥拝」というアルバムを出していまして、そちらは秩父の仕事歌がベースでしたが、今回はすべて自作曲です。

 今回は各曲、他のミュージシャンとの共演となっているのが特色。Sam Gendel 、Joana Queiroz 、Monica Salmaso 、Antonio Loureiro 、marucoporoporo 、Frederico Heliodoro の6人がアルバム全6曲のそれぞれ1曲に参加しています。全員、知らない人だ・・・。ブラジル4人、日米各1人らしいです。

 前に聴いた "OU BOIVENT LES LOUPS" や「ギター」は、「孤高」という印象でしたが、今回は少し違うかな。ギターの感触は変わっていないと思うのですが、重苦しさが薄れて空間が広がったような。やはり曲に対して他の人の解釈が加わると変わるものなのでしょうか。ゆったりと聴ける感じです。

 正直、本作と秩父との関連性はよくわからないのですが、行きたくなりました、秩父。来年は行けるかな。

今日の音楽 ー タイトルは「みんな、いっしょに」?

Con Todo El Mundo

 去年聴いた "Mordechai" が良かった Khruangbin 、さかのぼってみました。2018年の2作め、"Con Todo El Mundo" です。スペイン語でしょうか?

 最初に聴いたのが "Mordechai" だったのでうっかりしてましたが、この人たち、以前はインストメンタルばっかだったのですね。ただし、ボーカルの有無以外は "Mordechai" も本作も基本線は共通しています。

 気取った言い方をすればラウンジ・ミュージックですね。ソファーに深〜く体を預けてダラんと聴くのがよろしいような。ただ、「ラウンジ」っつっても、5つ星ホテル的な高級感はなくて、アングラな妖しげいかがわしげな感じが持ち味。

 モコモコしたベースが中央に居座り、その周辺でどこ産なんだかよくわかんないギターが奏でられるという。メロディは「哀愁の〜」みたいな。ちょっぴりヘンテコでいい感じなダサさ。

 "Mordechai" と比較すると、やはり歌無しのためか曲の印象が薄いきらいはありますが、本作もなかなかです。

今日の音楽 ー もう一押しが足りない

If You Saw Thro' My Eyes

 Thompson 翁関連旧作シリーズです。今回は Ian Matthews のソロ作を再び。1971年の "If You Saw Thro' My Eyes" です。

 "Tigers Will Survive" の前作で、Matthews Southern Comfort の後になります。翁や Sandy Denny 、後に一緒に Plainsong を結成する Andy Roberts らが参加しております。翁が参加しているのはクレジット見なくてもギターの音でわかります。

 彼らしい、アメリカのフォーク/カントリーからの影響を英国的なセンスで表現した音です。そして、Ian Matthews といえば、あの切々とした歌声ですね。

 美しい音です。なんですけど、ちょっと物足りない。彼の紡ぐこの音楽が好きで好きでたまらないという人はこれでよいのでしょうが、前後の作品と傾向が近すぎて印象に残らないのです。個人的には "Plainsong" が大好きなので、どうしても "Plainsong" を基準にして評価してしまうので。厳しい?

今日の音楽 ー 力作、でも不満

21st Century Love Songs

 The Wildhearts の2年ぶりの新譜が出ましたので、早速。"21st Century Love Songs" です。ジャケットは・・・、趣味じゃないな、とりあえず。

 元気です。爆音ロックンロールです。メンバー、皆けっこういいトシのはずなのに。

 それはいいのですが、前作でも感じた単調さが本作でも。

 中心人物の Ginger が The Wildhearts 以外のプロジェクトもいろいろやって発散してしまっているからなのか、それで The Wildhearts では原点回帰でってことなのか、似たタイプの曲が並んでいる印象です。

 昨今の沈滞した世情に反発するかのようなエネルギーに満ち溢れた騒がしさは好ましいのですが、彼らの良さはそれだけではないと思っているので、そのエネルギー量にもかかわらず何か物足りないです。

 もう少し遊びが欲しい。

今日の音楽 ー あら、残念

These Changing Skies

 新規開拓です。ネタ元はやはりネットラジオ。

 アメリカの男女5人組・Elephant Revival 、2013年のアルバム "These Changing Skies" です。

 ギター、バンジョー、マンドリン、フィドル、アップライトベースにウォッシュボード、ミュージカルソーと、アコースティックの楽器ばかり。ということでもろにフォーク/ブルーグラス系の音なわけですが、泥臭さやダラッとしたところは感じられず、締まった演奏です。歌は男女混合だったり、それぞれだったりと。収録曲は基本的にメンバーの作です。

 落ち着いていてスッキリした感覚が新世代らしいなぁと。やはり最近の新規開拓組・Darlingside とそのへん、共通した感触があります。

 あっさりしすぎて各曲の印象が薄口なのがやや残念ではありますが、今後も期待できそう、と思ったらすでに解散しているとのこと。2006年結成、2018年解散だそうですから、活動期間は10年以上で短いとは言えないでしょうが、わたしが知らんうちに現れてアルバム出して、気がついたときにはいなくなっていたとは、あうう。

今日の音楽 ー 不死鳥のジジイたち

The Phoenix Tapes

 再結成 Slim Chance のアルバムが出ました。"The Phoenix Tapes" です。

 純粋な新作ではなく、再結成以来の未発表曲集ですね。2011年から2017年までに録音された曲が収められています。終わりの2曲はライブ。

 なんだか感慨深いです。一時的かと思った再結成 Slim Chance の活動も10年になるわけで、未発表曲集を出せるまでになったわけです。コロナ禍の影響はあったでしょうが、この秋からは元気に英国内ツアーを開始するそう。

 おなじみ Ronnie Lane 作の再録にメンバーのオリジナル曲、Dylan 、Stones 、Cat Stevens らのカバーが並んでます。現メンバーに過去の在籍者、友情出演の Pete Townshend まで名を連ね、演奏曲によって組み合わせは様々。

 いい味、出してます。「有名になりたい」とか「モテたい」とか「ヒット曲出さなきゃ!」とかいう段階を通り過ぎたジジイたちがカマしてくれる楽しいパブカントリーロックです。「あの Ronnie Lane の!」という前置きを抜きにしても魅力的です。まだまだいけるぜ!

今日の音楽 ー 素っ気ないボックスセット

The Studio Albums 1978 - 1991

 「安かったから、つい買っちゃったよボックスセット」シリーズです。第何弾だろ?

 モノは Dire Straits です。"The Studio Albums 1978 - 1991" 。

 愛想のないタイトルですが、中身もそう。タイトル通り、彼らのスタジオ・アルバムCD6枚がセットになっただけ。収録曲もオリジナル通りで、ボーナストラックとかなし。バンドの歴史や作品の解説を掲載したブックレットの類もなし。おまけなし。売れたものの、決して派手ではなかったバンドのイメージからすると、ふさわしいのかもしれませんが。

 考えてみれば、わたし、デビューアルバムと "Brothers In Arms" は持ってたんだよね。6枚中2枚ダブリか。安くてもあんまりお得ではなかったかも。それにベストアルバムもあったか。あ・・・。

 6枚通して聴いてみて、印象に残るのはやっぱり Mark Knopfler のあのギターと声。メンバー交代はあったのに、基本線は解散まで変わらなかったよう。ラストアルバムにはムード歌謡みたいな変な曲があったけどさ。

 ベスト盤買った時も書きましたが、なんでこの人たち、売れたんでしょうね? 6枚聴いてもピンとこないのですが。歌詞なのかな?

 オーソドックスなギターロック。美形のメンバーがいたわけでもなし、火吹いたりもしなかったし。

 ただ、わたしの記憶では "Brothers In Arms" のころ、Steve Winwood あたりとともに「ヤッピー向け・CD向けのアーティスト」と言われていたらしいです。つまり、優良企業勤務で小金を持っていて、当時、普及し始めたCDをいち早く手に入れているような都市部の人たちが支持層だったという。本当のところ、どうだったのかはともかく。

 確かに、パンク/ニュー・ウェイヴ以前のロックと比較すると、この人たち、泥臭さが薄く音がクリアで分離が良く、デジタル化されたCD向きってのはあるかもしれません。さらにパンクやハードロック勢と違ってうるさすぎず過激な表現もないから、「家族と一緒に聴ける落ち着いたロック」という位置にいたのでしょうか。本人たちにそういう志向があったかは疑問にせよ。

 あと、気がついたのは意外と長い曲が多いこと。4枚めの "Love Over Gold" はフルアルバムなのに5曲しか入っていなくて5分未満の曲はゼロ、1曲めの "Telegraph Road" なんか14分超だよ。「プログレかっ!」てなもんで。

 彼らの代表曲・"Money for Nothing" も実はアルバムバージョンは8分超。MTV やわたしが持ってるベスト盤のはショートバージョンなんで、忘れてたわ。

 本ボックスセットに収録されているのは全51曲なんですが、2分台・3分台の曲は9曲にとどまり、一方6分超の曲の方が14曲で上回っております。そのへんは70年代のしっぽを引きずっているような気がしなくもありません。

 各アルバムの質はそれぞれ高水準で駄作なし。関心はあるけど作品未購入の方にとっては、買って損のないセットかと思います。

 好きな曲、1曲挙げるとすると "Tunnel Of Love" かな。なんか、つけたりみたいですけど。

 ライブ・アルバムも買おうかしら。昔、テレビで観た "Alchemy Live" の "Private Investigations" が良かったな。

今日の音楽 ー 模索の時期

What We Did On Our Holidays

 Richard & Linda Thompson のボックスセットを聴いてから、Thompson 翁関連の旧作を聴きたくなってきました。

 なので、Fairport Convention です。1969年の3作目のアルバム "What We Did On Our Holidays" 。本作から Sandy Denny が参加し、Iain Matthews とともにボーカルをとることになります。

 1曲めが後に Sandy Denny が結成するグループの名と同じ "Fotheringay" 。おお、早速 Sandy Denny らしい、悲哀の色をにじませつつ処刑されるスコットランド女王の境遇を歌います。

 次は男声ボーカルが加わり、ギターが全面に出たブルースロック調に。

 その後も伝承曲があったり、カバーがあったり、メンバーの作も Thompson 翁単独名義が3曲と一番多いのですが、Sandy Denny も Ashley Hutchings も Simon Nicol もそれぞれ提供してるし、ボーカルも Sandy Denny 、Iain Matthews が一人でとったり、二人でコーラスしたりと組み合わせがいろいろ。

 そのためか、後のアルバムと比べてえらくまとまりがない。しかし散漫というのとは違うと思います。力作ではあるんですが、アルバムとしてのトータルのイメージが描きにくいという、そういう感じです。

 ボーナストラックの "You're Gonna Need My Help" では珍しい翁のスライド・ギターに Iain Matthews と Sandy Denny のツインボーカルでブルースですよ。

 自分たちの可能性を思い思いに手探りしてた、そういう段階だったんだろうな。

今日の音楽 ー 素敵な男声コーラス!

Birds Say

 新規開拓です。アメリカ・マサチューセッツの男性4人組 Darlingside の2015年のアルバム "Birds Say" です。よく聴くネットラジオ・Radio Paradise で時々かかっていて、良さそうだったので。ジャンル分けするとしたら、フォークポップ?

 このグループ、2009年の結成で元は皆同じ学校の学生だったそうです。あー、なんかわかる。音の感じで。なんかマジメ。

 一聴して特徴的なのが歌声。全員で歌っているんでしょうか? 端正な美しいハーモニーが光ります。「 David Crosby が在籍していた1965年ごろの The Byrds のよう」という評価を受けたとか。

 バックの音はフォーク・ブルーグラス的なアコースティック中心。シンプルですが、音の響かせ方がクリアで現代的。単純な伝統志向とは一味違うキレがあります。そこも良い。

 メロディは優しくノスタルジック。しかし、情緒に流れっ放しではなく、ピッと引き締まったところを聴かせてくれるのも良い。

 これはいいですね。気に入りました。The Weepies や The Wailin' Jennys が好きな人にオススメできるかと。

今日の音楽 ー 妙なところで再会

Different Every Time

 なぜか、Robert Wyatt です。この人は大昔、ラジオで聴いて「良さそう」と思い、"Rock Bottom" というアルバムを買ったことがあります。実際、なかなか良かったのですが、あまり印象は強くはなく、その後、ほぼ忘れていました。

 最近、ひょんなところ(Faces の "A Real Good Time : Transmissions 1970" で Ronnie Lane とクリスマスキャロルを歌ってた)で聴く機会があり、思い出しました。それでもうちょっと聴いてみようと。

 "Different Every Time" 、2014年の2枚組編集盤です。1枚めがメンバーだった Soft Machine・Matching Mole 両バンドとその後のソロ作から、2枚めは他のアーティストとの共演作からと幅広く選曲しています。

 なんだろう、このクセのあるメロディ、曲展開は。同じロックと申せども、Chuck Berry なんかとはほとんど御縁がなさそうな。説明しにくいんですが、素直じゃないんですな。

 そういえば若いころ、彼のお仲間だった Kevin Ayers もそういう感じ、ありました。普段、こういう音楽を聴いていないのもあるのでしょうが、時々、なんとなく馴染めない、居心地がよくない。

 その一方で奇妙な魅力のある人で、捨てがたい。素敵な歌声、美しい曲もあるんですよ。"The River" とか、いいもんな。ホントにどうしたもんだか。