『インフレの時代』(渡辺努:著 中央公論新社)、読了。
長らく続いた日本のデフレの時代は終わり、物価が上がる世の中に戻ったようです。わたしはほぼジジイですゆえ、インフレの時代の記憶は十分あります(若いころはインフレが当たり前で、デフレが始まったころ、「物の値段が下がっていくってことがありうるんだ!」と驚いた記憶あり。)が、それを知らない世代の人はどう感じているんだろう?
本書は今年初めに出たもので、署名から察せられるとおり、大きく経済の流れが変わった現在の日本でインフレをどうとらえるべきか、という本です。著者は日銀勤務経験のあるマクロ経済研究者。
物価上昇について、市井の生活者の多く(わたしを含む)は迷惑に感じていると思うのですが、著者は「インフレの到来は日本にとって前向きな変化である」としており、その根拠について本書の最初の方で説明しており、あわせて日銀を含む諸国の中央銀行がインフレの目標値として2%としているかについても解説しています。
そのへんは一応理解できた感じなのですが、将来予測や日銀の政策についてはよくわかりませんでした。そこはわたしの経済理論に対する理解が不足しているからだと思います。なので、著者の意見が妥当なのかどうかについてはなんとも言えません。
また、冒頭で著者が断っているように、「22年春以降のインフレを観察しながら」「その時々に書いたエッセーを集めたため」か、一冊の本として流れやまとまりが今ひとつという気もしました。
とはいえ、「物価上昇≒悪」といったありがちで単純な見方とは別の視点を知ることができたのは収穫でした。
予測の部分については、3〜5年後に読み返してみるといいかもしれないなぁと思ったり。