『反逆の神話〔新版〕』(ジョセフ・ヒース/アンドルー・ポター:著 栗原百代:訳 早川書房)、読了。
最初、副題が『「反体制」はカネになる』というところから、商業主義(金儲け)に堕した反体制思想・カウンターカルチャーを揶揄する本かなと思いました。そうしたことも含んでいますが、本書で議論されているのはもっと幅広いことです。乱暴に要約すれば「反体制の不毛な一面」を鋭く衝いた批判の書です(ただし、健全な異議申し立てまで否定するものではありません)。
冒頭第一部第1章でカート・コバーンの死を取り上げているあたりからも感じられることですが、どうやら著者二人は反体制思想を「外」から論難しているのではなく、反体制思想に「近い」(すくなくともかつては「近かった」)立場からの反省の意味合いもこめて議論を進めているように思われます。辛辣な論調の中になかなか苦いものが見え隠れするのですな。
ロックなどからカウンターカルチャーの思想の影響を受けているわたしにとって、かなり耳が痛い内容でもありました。著者二人とはほぼ同世代ですし。
体制の完全な転覆を望むがために、そこに到らない漸進的な改善を拒否する態度をカウンターカルチャーの重い罪と指摘する点には同意せざる得ません。
原著の発表からすでに20年以上たっていますが、十分刺激的です。