『おんなのこ物語 1〜3』(森脇真末味:作 小学館)、読了。
『緑茶夢』に続きまして、こちらです。
3巻の「あとがき」で、「当時、おとこのこ物語といわれた」と作者自ら書く羊頭狗肉マンガです。だいたい表紙絵からして男じゃん、男が一人だけ。1巻だけじゃなく、2巻もそう。3巻になってやっと男女二人になるという。
紹介しましょう。ロックバンドをやっている男子高校生・八角京介が複雑な家庭環境と複雑なバンド環境、人間関係の中で屈折していき、本来穏やかで善良だった心に闇を育ててしまうという心理ホラー劇で・・・、えっ、違う!?
それはまあ、ともかく。それにしても登場人物、どいつもこいつも入れ代わり立ち代わり八角をサディスティックに追い込んでいくんだよねぇ・・・。八角の彼女である尚子がまた人一倍追い込むし・・・(八角、かわいそ)。そんな八角の苦悩と逃走と解放を描いた・・・、えっ、これも違う!?
「あとがき」によると、初連載のこの作品を描くにあたって「グループが解散にいたる話をかきたい」と作者が希望を出していたそう。タイトルは出版社側の担当さんの発案とのことです。
改めて読んでみると、初連載だったってこともあったんでしょうが、いろいろ問題は多いお話です。タイトルと内容が合ってないというのはその最たるものですが、話の展開がわかりにくい(今回読み直してようやく理解できたところがあります)とか、八角が『緑茶夢』に出てきた時とは全然別人になってるとか、むりやり恋愛要素を割り込ませているような不自然さとか。
でも、いろいろある問題に目をつぶれば、今読んでもすごくおもしろいんですよね。
まず、セリフのキレがいい。
(笑)
演奏シーンがカッコよい! 汗臭い熱気が伝わってくるよう。ロックが好きで、なおかつしっかり観察してないと描けない絵ではなかろうか。歌っているときの大城はジョン・レノンみたい!
背景が渋い。少女漫画的なファンタジックなものではなく(お花だらけだったりしませんよ)、1970年代の日本のくすんだ街の色そのままで、おぼえのある身としては懐かしくもあります。
舞台である1970年代終わりごろの日本のバンドを取り巻く状況の描写は、むしろ今の方が興味深いかな。ギタリストの影武者とかラジカセ2つつなげて演奏をダビングするとか野外コンサートの段取りとか。アメリカで活動してた日本人ベーシストって、小原礼にヒントを得たのかしら? ちょうど時代的に合うんだよね。偶然、すぐ前に読んでいた "All The Rage" に出てきたんで、気がついたんですけど。
仲尾の部屋にはオープンリールデッキまであるよ! 今読むと桑田がけっこういいやつに思えます(当時は、ムズカしい男、あんまり関わりたくないなぁと思ってました)。虎田がワイド判『風の谷のナウシカ』読んでるよ!(でもあれ、1980年代に入ってからじゃないっけ?)
今回読んだのは最初に出た単行本ではなく、1991年に出た再構成版で、少し後になって別のマンガ誌に掲載された番外編も収録されているのはありがたかったです。それと『夢喰いドガ』のシリーズも入ってた! 好きだったんでうれしいです。朝日ソノラマの単行本で読んだんだよなぁ(古ッ)。『砂の泣く浜』は読んでなかったっ!
読み直してよかったです。