「会場で売るアルバムが欲しかったから」と Richard Thompson 翁、Acoustic 三部作の第一作 "Acoustic Classics" について、こうおっしゃっておられます。発売当時(2014年)、翁のコンサートツアーの3分の2はアコースティックで、そうしたコンサートを気に入った来場客が終演後に販売コーナーで買えるようなアルバムがなかったから作ってみたそう。大手レコード会社の下を離れてインディ・アーティストとしての活動が久しいだけに、自分で営業的なこともしっかり考えているようです。
このように当初は会場販売用と考えていたということですが、一般販売してみたらなんと英国チャートのトップ20入りしてそれまでの諸作品を上回る好成績を記録したというからわからないもの。そのおかげで一作にとどまらず、三部作に発展したということらしいです。
基本的にはこの三部作はその名のとおり、どの曲もアコースティックギターとボーカルを翁が一人でこなすというシンプルなもの。
制作経緯からもうかがえるように、1作めは翁の代表曲・人気曲中心で、翁曰く「初めて自分の音楽を聴く人向け」のベストアルバムっぽい選曲です。2017年の "Acoustic Classics II" もそれに近いですが、同年の "Acoustic Rarities" は未発表曲が複数含まれるなど熱心なファン向けの選曲。「レアリティ」だからそうなるよね。
わたしは実は翁の曲、エレクトリックギターがギャンギャン鳴ってるバンドサウンドのロックンロールなのが好きなんです。"Turning Of The Tide" とか。なので、どうしようかなと思っているうちに聴き逃してしまっていたのですが、考え直しまして三部作、一気に聴いてみました。・・・ええ、セールでCD安く買えたというのが大きいのですけど。
でも、さすがは翁。アコースティックギターの生々しさが素敵。最小限の構成なので、余計に映えます。
また、Fairport Convention 時代から2000年代に入ってからの曲まで幅広く選ばれていて、かつて Sandy Denny や Linda が歌っていたのを翁が歌うというのもポイント。
アルバムそれぞれで気に入った曲を一つづつ上げると、1作めは "Valerie"(原曲も大好き!)、2作めは "Genesis Hall" 、3作めは " Poor Will And The Jolly Hangman" ですね。