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蕭寥亭

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今日のマンガ

緑茶夢

 『緑茶夢 1・2』(森脇真末味:作 小学館)、読了。

 去年、一体何年ぶり?という作者の短編集『死神』が出まして、思い出しての読み直しです。これ、初読は十代だったよな。

 ロックバンド、スランの話、第1話は1980年かぁ。描写されるこの時代の空気、おぼえがあります。

 主人公の安倍弘(16歳! 16歳・・・)は、その後の作者の作品に出てくる一連の主要人物の原型かな。A1とか。作者曰く、「徹頭徹尾ゆがんだ性格」です。

 よく考えると関西の話のはずなのに(京大でギグ演ってたらしいですよ)、登場人物で関西弁なの、大城だけって、なんか事情が?

 今読むと、初読当時では気がつかなかった(知らなかった)ちょっとした発見があって楽しかったです。「ビッグ・フィート」ってバンド名はリトル・フィートをもじった? 「コージーばりのダブル・バス」の「コージー」はコージー・パウエルかしら? トム・ロビンソンなんて名前も出てきます。弘のお母さんのモデルは、ジョン・レノンのお母さんかな? 少女漫画なのにわりとあっさりと人を殴るシーン、多いよね。時代か?

 スランの話以外の読み切り作品も初読当時の単行本に併録されていましたが、そちらは読んでいませんでした。理由はおぼえています。なぜならば、スランの話とは大きく傾向の異なる、いわゆる「ド少女マンガ」的な作品ばかりだったので。趣味じゃないのよ、さすがに。今回、せっかくなのでがんばって全部読んでみましたけど、キツかった・・・。作者自身、仕事で「学園モノや、ラブコメの”課題”」を出されたと書いているので、そもそもご本人の嗜好で描いたものではないのかもしれません。それも作風が確立する前の初期らしいですが。

 でも、こちらでもいくつか発見が。登場人物にカート・ヴォネガットとか名前つけてますけど、そちらもお好きでしたか。『陽気な魔女たち』は後年の短編『アブダ・カ・タブラ』に通じるものが。画家への関心は初期からでしたか。

 印象に残るのは、やはり負の感情の描き方。嫉妬、劣等感、悪意。なので読み手を選ぶ人ではありますが、今でも鋭い、と思います。