『馬と人の古代史』(若狭徹:著 KADOKAWA)、読了。
本書「おわりに」によりますと、今年が午年だからということで企画された本なのだそうです。なるほど。
わりと知られていることですが、例の魏志倭人伝(三国志魏書東夷伝倭人条)に「倭に牛馬はいない」という記述がありまして、3世紀あたりだと日本の、少なくとも魏の使者が見聞した範囲では馬はいなかったようです(魏の使者は乗り物がなくて閉口したのでは)。考古学の調査によって発見された馬具の年代から、日本に馬が存在したと考えられているのは古墳時代中期だそうです。そこから奈良時代までの古代、日本における最初期の馬と人の関わりを解説する、というものです。
地味〜ィな話になるんじゃないかなと読む前に思ってましたけど、実際地味でした。馬の生産と利用が話の中心なんで。でも、意外なくらいおもしろかったです。
出土した馬の歯に含まれる元素の同位体分析から生育地の推定ができるとか、古代の馬産地の推移とか、古墳との関係とか。
生育には現代のように牧場で馬をずっと管理するのではなくて、ふだんは山野に放しておく自由放牧というやり方が取られていたそう。それで必要に応じて囲みに追い込んで捕まえて調教したんだそう。馬追って言葉は知っていましたけど、なぜ馬を追うのかはわかってなかったです。そういう生育法をとっていたから必要だったわけですね。勉強になります。
他にも馬に載せられる荷物の重量や標準的な移動速度、馬と信仰、歌に詠まれた馬など。
興味がある人は限られているかもしれませんが、興味があるなら読んで損はない内容かと。