前の日曜日に『花嫁はどこへ?』を観に行ってから、珍しく間を置かずまた映画を観てきました。
中国映画です。2025年製作の『長安のライチ』。
時代は唐。都・長安に勤務するうだつの上がらない下級官吏・李善徳は、はるか嶺南(今の広東省周辺でこの時代はまだ辺境扱い)から生のライチを運んでくるよう命じられる。遠い嶺南から長安までライチを新鮮なまま輸送するのは不可能と思われていたが、皇帝直々の命令を拒否できない上層部が失敗した場合の責任を押し付けるための、いわば人身御供として李善徳は選ばれたのだった。絶望的な気分で李善徳は嶺南へと赴く。
去年観た『満江紅』は南宋時代でしたが、こちらは唐代。
時代考証をどれだけ厳密にやっているかわかりませんが、『満江紅』同様、当時の服装や風俗の描き方にまず目がいきました。最初の方で、李善徳が新居を探すシーン、あの時代にあんなのあったの? 史実なら相当先進的だけど。いや、まさか。でも、中国ならありうるか?
皇帝がなぜ新鮮なライチを欲しがるかというと、楊貴妃の誕生日のプレゼントにするため(つーことは皇帝は玄宗ですね)。なので、場面転換のたびに「楊貴妃の誕生日まであと◯◯日」というテロップがいちいち出てきて、昔のアニメを思い出しちゃいましたよ(地球滅亡まで〜)。ちなみに出番はあまり多くありませんが、同時代の杜甫や楊国忠が出てきます。
このライチを運ぶ役というのは唐代に実在したそう。これは初めて知りましたが、皇帝の無体な要求で民衆が苦しむ、というのは中国の史上よく聞く話で、『水滸伝』でも青面獣の楊志が花石綱の運搬に失敗してたっけ。
この映画もテンポがとてもいい。退屈するヒマはありませんでした。
李善徳の善良な下っ端役人の悲哀感がよく出ていて、いい感じ。
李善徳以外の登場人物も個性的でお話を盛り上げてくれますが、惜しむらくは彼らと李善徳の関係、どのような過程を経てどのような間柄になったのかを描写する場面が不足気味で、もったいないなぁと思いました。
最後に「登場した動物たちは傷つけていません」というようなテロップが出まして、なるほど、そういう時代なんだねぇ、と思ったり。実際、観ている時、気になっていたのでホントにそうならよかった。ライチを切るシーンは・・・、あれもむしろCGであってほしいと思ったり。時代ですな。
とてもおもしろかったです。