『Why We Die』(ヴェンカトラマン・ラマクリシュナン:著 土方奈美:訳 日経BP日本経済新聞出版)、読了。
なぜ、わたしたちは死ぬのか。いきなり書名で簡潔かつ根源的な問いを正面からぶつけてきていますが、哲学の本ではなく、著者の専門である分子生物学の成果と直面している問題に基づく寿命と老化についての本です。
文章は難解ではありませんが、特に中盤は人間(または生物)の体内で起きている複雑な生化学的過程を追っていきますので、その複雑さゆえ、解説も単純明快とはいかず専門用語も頻出しますので、読みやすいとまでは言えません。
その一方で、原著が2024年と新しい本ですので、最新の分子生物学の研究成果に触れられます。iPS細胞についても解説があり、この分野で大きな期待が寄せられている長所がある反面、重大な問題があることも指摘しています(素人目にはノーベル賞受賞後、なかなか応用が進んでいないように感じられていたのですが、ちゃんと理由があるのですね)。
そうしたことに興味がある方には、がんばって読む価値がある本だと思います。
途中で挫折しそうになったら、最後の2章をとりあえず読んでみるのもいいかもしれません。専門的な話からやや離れて、過熱気味のアンチエイジング研究への懸念、そして長寿はほんとうに目指すべきものなのだろうかという疑問が述べられています。