『承久の乱研究の最前線』(日本史史料研究会:監修 細川重男:編 朝日新聞出版)、読了。
また、日本史史料研究会監修の「最前線」シリーズを。
編者が承久の乱理解のための前提知識として序章を担当し、本編12章を編者を含む10人で分担しています。編者は『鎌倉幕府抗争史』などの著者。本編の担当者の一人に『中先代の乱』の著者が入っています。
第一章が首謀者たる後鳥羽上皇。なのですが、「意外にも、乱の前後における院の実像を知ることのできる史料は、きわめて少ない」のだそう。これはたしかに意外。章の内容も少ない史料からどうやって上皇を描いたものか、担当者の苦心が感じられます。承久の乱といえば日本史上の大事件なのに。そういや、上皇から討伐の対象とされた北条義時もえらく地味な人だったようだけど・・・。
このシリーズの他の本もそういう傾向がありますが、本書も承久の乱の経過そのものというより、承久の乱周辺のちょっと注目されにくい論点を取り上げているのがおもしろいです。
興味が湧くポイントは人によって違うと思いますが、わたしはこの時代の武士の多元的な主従関係とか承久の乱後に生まれた日蓮の語る承久の乱、とか。そういえば承久の乱勃発直後に討たれた伊賀光季の伊賀氏って、どういう系統の一族だったんだか解説されてるの読んだことなかったな。後鳥羽上皇の狙いは鎌倉進攻ではなく、鎌倉の御家人たちによる内部からの北条義時排除だったとする考えもなかなか。
このシリーズ、今後も期待。