『動物には何が見え、聞こえ、感じられるのか』(エド・ヨン:著 久保尚子:訳 柏書房)、読了。
紙の現物を手に取ると、まずその分厚さにちょっとたじろぎます。上下2巻に分けた方がよかったかも、と思うくらいです。しかし、内容はその分量に見合う素晴らしいポピュラーサイエンスで、ただ厚いだけの本ではありません。
子どものころ、人間には見えない紫外線をミツバチは見ることができると、子ども向けの科学の本を読んで知り、「どんな色に見えるんだろう?」と不思議に思ったことがあります。そういう疑問を持った経験のある方はがんばって挑戦してみてはいかがでしょう。
書名からもわかるように、人間以外の動物たちは何を感じることができるのか(何を感じることができないのか、も含む)についての本です。または、動物たちはそれぞれ異なる限られた知覚によってこの世界を理解しており、それによってそれぞれ異なる世界像を描いている、ということを解説する本でもあります。
そうしたそれぞれの動物に固有の知覚世界を「環世界」というのだそうです。これはドイツの動物学者ユクスキュルによって提唱された言葉だそうです。ユクスキュルの『生物から見た世界』は高い評価を受けている科学書ですが、わたし、読んでませんでした。そっち、先に読んでおけばよかったかも!
知覚の種類によって章立てされていまして、本書では11の知覚が取り上げられています(「人間には見えない紫」という章もあります!)。ちなみに人間の知覚はよく「五感」と言われますが、その5つだけではないそう。
「シマウマの縞模様にカモフラージュの効果はおそらくない。」
「魚は流体力学的に周囲を認識することになる。」
「磁覚については仕組みも感覚器官も知られていない。」
等々。興味深い話がいっぱい。
動物の様々な知覚の研究には分野の異なる科学技術が幅広く使われていて、本書も当然それらに触れていくわけでついていくのはかなり大変ですし、そもそも人間が持っていない知覚というのは想像するのも難しいので、スラスラと読める本ではないかもしれません。でも、がんばって読む価値はあると思います。
これは良い本です。