『わかりあえないイギリス』(若松邦弘:著 岩波書店)、読了。
日本のそれのモデルでもあるイギリスの民主制・議院内閣制ですが、近年、動揺の激しさがEU離脱問題などを通じておぼろげながら伝わってきています。
イギリスの中で何が起こっているのか? ブレア政権以降の20数年のイギリスの政治状況を解説する本です。著者はイギリス政治学の研究者。
その中で大きなテーマとしては書名がちょっと政治の本らしくない『わかりあえないイギリス』となっているように、従来の経済政策とは異なる新たな政治的対立軸「大都市(特にロンドン)対地方」、「エリート対非エリート」の顕在化とその亀裂の深刻さ、ということになろうかと思います。
イギリスの政治・議会といえば、保守・労働の2大政党制が頭に浮かんできますが、この2党が新たな対立軸にうまく対応できていない状況と、流動化する有権者の受け皿となる2大政党以外の政党の動向については、日々のニュースを聞いているだけではわかりにくいところなので参考になります。
この「わかりあえなさ」をどのように埋めていくかが課題なのでしょうが、その見通しはたっていないのが現状でもあるようです。辛いとこです。先の選挙結果を見ると日本でも着実に分断化と流動化が進んでいるようでもあり、我々の課題でもあるかもしれません。
EU離脱に賛成票を入れた理由は必ずしもEU自体への評価と直接関係しておらず、地方の多様な不満が集積された結果、という分析もなかなか驚きです。また、政党の得票数は下がったのに議席数は増えるといった、一見奇妙な現象が小選挙区制下のイギリスでもやはり起こっているのには考えさせられます。
ブレイディみかこ姐さんの政治リポートを読む時の参考にもなりそうな本です。