『シリーズ戦争学入門 国際平和協力』(山下光:著 創元社)、読了。
同シリーズ、5冊め。同シリーズ、4冊めを読んでからだいぶ間が空きました。2年ぶりです。
今回、著者が初めて日本人です。
翻訳物でないということで読みやすいかなと思いきや、かなりの難物でした。見慣れぬ用語が頻出する上、文体が論文のよう。
「国際平和協力」とは何か、ということ(ちなみにこの語は訳語ではなく、日本独自の用語だそうです)を3つの活動、平和維持、平和構築、人道支援に分けて解説していくという内容です。
これらの活動はそれぞれ何をするのか、その意義、歴史的変遷、国際状況との関連、抱える課題といったところが叙述の中心で、活動の具体例などとからめた説明はあまりありません。そのため活動の状況がイメージしにくく、読みにくさにつながっているのかなと思うのですが、それをするとかなり分量が増えてしまいそう。本シリーズはどれも250ページ未満で(本書も200ページちょっと)、コンパクトにまとめるというのも編集方針らしいのでしかたないのかもしれません。
中身は濃いです。3つの活動、それぞれ源流はかなり時代を遡るものとはいえ、全世界レベルの「国際」活動になったのはやはり第2次世界大戦後の国際連合発足後になるようで、それも冷戦時代と冷戦後では目指す方向性が変化しているというところが重要になります。国同士の戦争(東西両陣営の対立を反映したものが多かった)が中心だったのが冷戦後は内戦が増加したことから、各活動の概念・範囲も変化・拡大し、それに伴い課題も変化し、と。
人道支援についていえば、もともと紛争によって被害を受けた人々をその属性によらず支援するという中立的な活動であったものが、より積極的に紛争そのものの解決を目指すようになったという変化・拡大があり、その一方で中立性が後退した結果、現地勢力から敵視される可能性も高くなり、以前より活動が困難になりかねないというジレンマも浮上してきた、ということがあるそうです。
一読で内容を把握するのは難しい本と思う反面、読みがいはある本です。