『竜の学校は山の上』(九井諒子:作 イースト・プレス)、読了。
この短編集は読み落としていました。最初の単行本でしょうか。
前に読んだ『ひきだしにテラリウム』はほとんどが数ページのショートショートでしたが、こちらは10ページ以上の普通の短編(変な言い方)で9編収録。
絵柄は今とやや異なりますし、お話によっても感触が変わります。初期にありがちというか、模索中という印象。今のポップなトーンと比べると、やや重め暗め。
お話自体も沈んだ心情描写が多めで、なんだか突き抜けちゃった感がある『ダンジョン飯』とは傾向が違うような気がします。展開が若干無理めだったり、焦点がぼやけてふわっとしてしまい、何のお話だったのか読後首をひねってしまうようなところも初期らしく、ご愛嬌。設定が妙に丹念なのはその後に通ずる感じですが、短編だとそれが活かしきれないのが惜しい。魔物(天使や馬人は魔物とは違う?)がやたらにでてくる(1編除く全ての作品に!)のは、らしいですね。魔王が翼獅子っぽいし。