ずいぶん前、Ronnie Lane の参加作品を探していたときのことです。
たまたま検索で某有名ECサイトの商品・CDのボックスセットが引っかかりまして。商品説明を読んでみると、ミュージシャンのリストに Ronnie Lane の名がありました。
買うかどうか、迷いました。そのセットのバンドに Ronnie が参加していたっていう話は聞いたことがなかったし、「実は未発表曲に・・・」とかいうことはあったかもしれないにせよ、ボックスセットですよ、それ。それなりのお値段ですし。
ということで見送っていたのですが、先日、たまたま別件でネット検索中にン年ぶりに見かけてしまいましてね。実はそれ、発売からすでに20年以上経っていることに気がつきました。
「そろそろ入手困難になりそう、後になって買っておけば、なんて思うことになるよりは」とつい・・・。
それで聴くより先に同梱の曲解説を読んでみたのですが、どの曲にも Ronnie Lane の名は見当たらず・・・(悲)。
以上、愚痴でございます。
で、そのCDボックスセットというのが、Fairport Convention 2002年の "Fairport unConventioNal" 4枚組です。前置き、長かったな。
タイトルはダジャレか? そう、それで思い出して、バンド名の由来を調べてみたら、バンド結成のころ、創設者の一人・Simon Nicol のお父さんの仕事場の2階でメンバーが集まってリハーサルしてたから、だそう。その建物の名前が "Fairport" 、"Convention" は「集会」という意味。
Fairport Convention は "What We Did On Our Holidays" から "Full House" までは聴いてます。どれも好きですけど、わたしは Richard Thompson 翁がメンバーだったからっていうことで聴いていたので、翁離脱後の Fairport Convention には特に関心がなくて・・・(ヒドイ)、そういう立場にはボックスセットは重すぎる。せっかく買ったんだから、もちろん聴きましたけどね。
ほとんどの曲がアルバムに収録されたバージョンとは異なるレア・トラックだという、このCDボックスセットの構成がちょい変則的で。
1枚めが代表曲でたどるバンドの歴史。2枚めは特にマニアックで入手困難かつ知名度の低い演奏を集めたもの。3枚めは歴史上の出来事を歌った曲集(伝承曲を多くレパートリーとしているバンドらしくもあるけど)。4枚めがバンドにとって特別な曲を集めた "Classic" ということになっております。なるほど、(「通例から外れた」といった意味があるらしい)"unConventioNal" ね。
レア・トラックばかりということもあって、音質はまちまちで、どっちかっていうと全体的にあまり芳しくなく、中には海賊盤レベルのひどいものも。初心者は手を出すべきではない作品集です。
しかし、結論としては「買ってよかった」でした。
"Reno, Navada" における、翁の火を吹くようなギターを聴いちゃうとね。そして、それだけではないし。
多くは1970年代までの曲ですが、80年代以降の曲もあって "Wat Tyler" とか "Hiring Fair" とか音の感触が全然違います。同じバンドとは思えない・・・。各種機器の進歩を感じます。これはこれで悪くないです。こういうセットを買わなきゃ聴くこともなかったはず。
Leonard Cohen のカバー・"Suzanne" がいい!
アンケートで最もリクエストの多かった未発表音源だったという "Breakfast In Mayfair" も素敵!
しかし、わたしが一番素晴らしいと感じたのはこのボックスセットのトリをとる "Meet On The Ledge" です。1968年、BBCのラジオ番組用に収録されたもので、これも音はあまり良くないです。だが、それがなんだ!
歌い出しは Iain Matthews 。この人がまた、今にも泣き出しそうな声なんだ。引き継ぐのはもちろんブリティッシュ・フォークロック薄命の女王 Sandy Denny 、そして聞こえてくるあのギターは作曲者にしてまだ十代の Richard Thompson! サビの合唱につい涙が出そう・・・。
聴きながら、解説書以外にA2サイズのバンドのファミリーツリーが同梱されていたので、ボーッと見ていたら Slim Chance にいた Bruce Rowland の名前が。「そういや、Fairport にもいたんだっけ」とツリーをさかのぼると彼の出身バンドとして Slim Chance 、そしてそこに Ronnie Lane の名前も!
これに引っ張られてミュージシャンのリストに載せちゃったんじゃ・・・。