『日本史の現在 2 古代』(大津透:編 山川出版社)、読了。
新史料の発見や研究の進展に基づいた日本史の現在の研究状況を解説するシリーズ『日本史の現在』全6巻の2つめ。歴史教科書で知られる出版社らしい本です。『1 考古』を読みましたので、順当にこちらも読んでみました。
本書は古代編ということで、天皇号と日本国号、倭の五王から平安時代までを範囲としています。この、かなり広い時代から、ポイントを20選んで解説しています。
かつての教科書の記載と現在のそれとの違いがしばしば引用されているのですが、なかでも個人的に「新しい」と感じる歴史用語が、蘇我入鹿暗殺から蘇我氏本宗家滅亡に到る事件を指す「乙巳の変」。これ、わたしが高校のころは教科書で使われていなかったはずです。この後に始まる政治改革「大化の改新」に含まれる事件、という位置づけだったのですが、今では「乙巳の変」と「大化の改新」は区別されています(日本語入力の変換でも一発で出るし)。
他にかつての教科書の記載と大きく変わった点というと、「墾田永年私財法」。本書にある通り、わたしが高校で習った内容は、土地の私有を認めるこの法によって公地公民制が崩壊した、というものでした。これが現在では、この法はそれまで不備があった土地支配に関する制度を進展させたもの、と評価されているそうです。
それ以外でも、ここ2,30年で進展した研究がいろいろ紹介されています。ただ、1冊でまとめるには広すぎる範囲を対象としているため、これでもヌケがけっこうあるんじゃないかっていう気もします。武士に関する章が一つもなかったのですが、このへんも何かありそうだし。
とはいえ、おもしろかったです。以降の巻も読みます。