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蕭寥亭

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今日の本

南朝研究の最前線

 『南朝研究の最前線』(日本史史料研究会:監修 呉座勇一:編 朝日新聞出版)、読了。

 日本史史料研究会の監修する『北朝天皇研究の最前線』を読みましたので、北朝だけってのは不公平だよね(そういう問題か?)と、同じく日本史史料研究会監修のこちらも読んでみました。

 戦前までは正統とされていた南朝。しかし、現実には北朝の圧力(正確には北朝を支持した室町幕府の、ですね)の前に消えていった敗北者でありました。なので、もともと史料が乏しいそうで(南朝第3代の長慶天皇にいたっては史料の少なさゆえに即位したのかしなかったのかさえ長らくはっきりせず、ようやく即位していたと結論が出たのが大正になってからだったとか)、戦前盛んであった研究も、南朝正統論が意味を失った戦後は下火に。

 とはいえ、鎌倉後期から南北朝期全体の研究が近年進展した結果、南朝についても新たな成果が出てきたそうで、それを紹介する内容になっています。

 15人の研究者の論考からなっています。ざっと読んでも、あまりにも強すぎた『太平記』の影響から脱するのに苦労している、という印象です。加えて、研究対象が、南北いずれが正統か、誰が悪玉で誰が善玉で、とかいった実証史学の観点からはあまり意味を持たない論争に過去振り回されてきたのであったのだなと感じます。

 それと、建武政権の崩壊については、従来、後醍醐天皇の責任とされる傾向が強かったのですが、その点、見直しを提唱する論考もあって、なるほどと。個人的には、利害関係者の調整が難しすぎて誰が政権担当者をやってもうまくいかなかったんじゃないかと思っているのですが。建武政権崩壊後の状況、観応の擾乱とかの混沌をみると・・・。