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開店休業の記

今日の本

バズる「死にたい」

 『バズる「死にたい」』(古田雄介:著 小学館)、読了。

 著者の『ネットで故人の声を聴け』を読んでいまして、かなり強い印象のあった本でした。その2年半後に出た本書は、そちらと地続きのような内容かなと思って読みました。

 「地続きかな」という予想、間違ってはなかったようです。ただし、『ネットで故人の声を聴け』は、ネット上に存在する、死と直面した人たちの「思い」を紹介する、というところに重点がありましたが、こちらは「死にたい」とネット上で吐露する人たちをどう理解すべきか、そうした投稿とどう向かい合うべきか、著者が考えていくという内容になっています。

 具体的に実例を個別に挙げていった『ネットで故人の声を聴け』と比較すると、焦点がぼやけてしまった感じがあり、まとまりに欠いている気がしました。副題に「考察」とありますが、データ分析などによる客観的なものではなく、著者の自問自答と紆余曲折をずっと読んでいるような印象です。

 ただし、その紆余曲折に問題の難しさと留意すべき点があるとも感じました。この問題に関心があり、多少のまどろっこしさは気にしないという方なら一読の価値はあるかと。