
『日本史の現在 1 考古』(設楽博己:編 山川出版社)、読了。
歴史は新史料の発見や研究の進展に応じて、つねに書き改められていくものであり、日本史における研究状況を、第一線で活躍する研究者たちが、わかりやすく解説するシリーズ、と出版社のサイトでは紹介されています。
ということで、入門書ではなく、ある程度日本史の知識はあるけど学んでからかなり時間がたってしまった人向けの情報更新に、っていうものでしょうか。
本書は全6巻の最初のものです。
考古ということで、縄文、弥生、古墳といった文献史料がない、あるいは非常に乏しい時代の研究を紹介する巻かなと思って読み始めたところ、分量的にはそうした時代中心ですが、以降の時代も含むかなり広い範囲の考古学についてふれられています。
読んでみると、わたしが学校時代(数十年前・・・)に習ったこととはだいぶ違ってきており、実際、知識の更新が必要なことを痛感させられます。縄文時代も弥生時代も開始時期が大きく遡ってるし、そもそも縄文時代や弥生時代という区分をどのように定義するかも変わりつつあるそうで。
古墳時代の地域首長のあり方を知る上で大変重要という、群馬県の三ツ寺Ⅰ遺跡・北谷遺跡のことなんか、まったく習ってなかったもんな。今は教科書にのっているそうです。
あまり注目されることのない動物考古学の話が実はおもしろく。
また考古学となると、遺物から情報を引き出す科学の力が研究の進展に重要なことがよくわかります。
幅広い研究成果がぎゅうっと濃縮されている感じで、なかなか一読では消化しきれませんでしたが、好企画だと思います。以降の巻も読むつもりです。