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開店休業の記

今日のDVD

女と銃と荒野の麺屋

 久し振りにDVDで映画を。で、久し振りにチャン・イーモウ(張芸謀)作品です。

 『女と銃と荒野の麺屋』、2009年の公開です。

 見渡す限り緑のない乾いた荒野にポツンと一軒の麺屋があった。その店の主人の妻は虐待されており、夫から自由になる機会をうかがっていた。一方、店の主人は、妻が店の使用人と不倫していると知り・・・。

 いきなり、おポンチなノリで開幕(つかみとしては成功してます)。ちょっと足りなそうな店の使用人3人の服はまるでサーカス団員みたいな色合いだし、麺を作る場面は軽業みたいだし、「チャン・イーモウがコメディかっ!」と思ったんですが、そうでもなく。

 じゃあ、かつてのチャン・イーモウ的な社会派・人間ドラマかというと、それは違うよね。

 『HERO』的なアクション活劇かというと、ちょっぴりそれっぽい要素もないこたぁ、ないんだけど・・・。

 犯罪サスペンス? そう言えないこともないけど、それにしちゃあ、なんだか失笑を誘うドタバタが多すぎる。

 だいたい、こんなだだっ広い、通る人もいそうにない荒れ地に、なんで食い物屋が一軒だけあるんだよ? 狙ったように不自然です。ひょっとして西部劇の中国的翻案かと思ったら、実際アメリカ映画のリメイクだそうです。でも、元は西部劇ではないらしい。

 90分と短めなのにいろんな要素が混ざりすぎて、なんだかよくわからない映画になっています。観ながら「なんじゃ、こりゃあ!?」連発でした。

 B級つったら、B級です。でも、失敗してB級映画になっちゃったっていうより、マジメにB級路線を追求した結果、立派なB級映画に仕上がっちゃったんでは、というような気もしてます。

 それでいてチャン・イーモウらしいアクセントの効いた鮮やかな画面は健在だし。

 一言で評するなら、珍品。

 そう思って観ると、よろしいんじゃないでしょうか。