『津和野藩ものがたり』(山陰中央新報社)、読了。
先日の旅行のお土産です。旅先で郷土史の小冊子などが売っていれば時々買っています。
今日の本 − 『松江ふるさと文庫3 増補改訂版 松江藩の財政危機を救え』
津和野藩は石見国の西端、現在の島根県津和野町周辺を領していました。4万3000石の小藩でしたが、幕末から明治にかけて啓蒙思想家の西周(「哲学」「主観」「客観」等、現在も使われる訳語を考案したことで知られます)や文豪・森鴎外ら多くの人材を出しています。その歴史を江戸期を中心にたどるものです。
10人以上の執筆者の手によるもので、詳細はわかりませんが、地元の郷土史家の方々のよう。
通史的な構成ではなく、藩政、文化、産業開発、教育等々、どちらかというとテーマ別の記述になっており、話題が飛んだり重複したりとまとまりのなさは若干感じますが、「中央」からの視点では見えにくい、地道な「地方」の在り方を知ることができて、おもしろかったです。
特に目を引いたのが教育。学校を作って藩士教育に乗り出した藩は他にもたくさんありますが、国学も洋学も両方教えていたというのは珍しいのではないでしょうか。数学科まであったそう!
幕末期にお隣で親しかった長州藩と幕府との間で板挟みになったというあたりは、小藩の辛さがにじみ出ます。
それから短い記述ですが、明治になっても続いたキリスト教徒迫害に触れているのも勉強になりました。