
『北朝天皇研究の最前線』(日本史史料研究会:監修 遠藤珠紀・水野智之:編 山川出版社)、読了。
また日本史史料研究会の監修する歴史書を。去年出た本ですから、たしかに現在の「最前線」になると思われます。
今日の本 - 『論考 日本中世史』
数年前、似たような題の本を読んでいたなと思い出せば、『北朝の天皇』でした。あの本の著者も本書の執筆者に名を連ねています。
今日の本 - 『北朝の天皇』
戦前は南朝を正統とする皇国史観のもと、「僭主」のような扱いを受け、皇国史観に対する反動ともいえるマルクス史観の影響が濃くなったのだから戦後は復権するかと思いきや、今度は「武家の傀儡」とみなされてと、軽視され続けの北朝ですが、1980年代になってようやく研究が進展し始めたそうで、その成果の一端が本書に示されています。
それぞれ別の執筆者による12の論点が章分けされて解説されています。論点は多様で、執筆者の書きぶりが異なることもあり、こちらの理解力の限界もあり、12のすべてがおもしろかったとまでは言えませんが、従来の理解にかなり更新をいれる必要があると感じる本ではありました。
いささか番外編的ではありますが、最後に近世以降の南北正閏論争についても1章設けています。ちょっと関心があったところなのでありがたし。