『スペルホーストのパペット人形』(ケイト・ディカミロ:作 ジュリー・モースタッド:絵 横山和江:訳 偕成社)、読了。
児童文学です。出版社によると、対象年齢は小学校高学年から。作者はアメリカの作家で、絵はカナダのイラストレーター。原著の出版は2023年、日本版は今年出たばかり。
昔々、とまではいかない、少し昔が舞台でしょうか。ある町に身寄りのない老人が一人で暮らしていました。スペルホーストといい、かつて船長をしていました。体調が良くて町を歩きまわっていたある日、スペルホーストは、通りのおもちゃ屋にかざってあったパペット人形に心をうばわれて・・・。
ケレン味のない、まっとうな童話です。ファンタジーというと、ちと違う。去年出たばかりというのが意外に思える、伝統派の作風というか。「夢を追うこと」が語られるあたりはアメリカ的ですが、それも控えめで、落ち着いた語り口に好感が持てます。
絵も昔の絵本を思い出すような、アニメ風が多くなった今では流行らない感じですが、お話の内容にとても合っているし、わたしは好きです。
大人が読むとちょっと苦味があるかな? 今のこどもはもっと派手な展開の方が好きかしら? どうだろう?
読んで後味の良いお話でした。