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開店休業の記

今日の本

月の番人

 『月の番人』(トム・ゴールド:作 古屋美登里:訳 亜紀書房)、読了。

 以前読んだ絵本『木のロボットと丸太のおひめさまのだいぼうけん』がよかったので、同じ作者の本をもう一冊。

 絵柄は共通していますが、こちらはコマ割り、吹き出しのセリフと、絵本というより、マンガ・コミックの構成です。ちなみにコマ割りは日本のマンガと違って、すごく単純。やっぱり黒ゴマの粒みたいな点の目が好き。

 月のお巡りさんのお話です。人が住める月世界。でも、なんだか寂れきっていて・・・。

 設定としてはSF的なわけですが、全然そんな感じがしないです。かつて石炭で栄えたけれど、廃鉱になって以来、人影が少なくなる一方、という街のお話のような。イギリスでもそういう街、あるらしいですし(トム・ゴールドはイギリス・スコットランドの人)、寓意がありそう。

 色数は少なく、静かで、そして荒涼として生気に乏しい月の世界にあっています。そのくせ、どこかのんきそうな、ユーモラスな雰囲気も漂っているのが味。

 余韻がいい感じ。