メニュー 蕭寥亭 検索

開店休業の記

今日のマンガ

夢喰い

 『夢喰い』(佐藤史生:作 河出書房新社)、読了。

 先月末に行ってきた「佐藤史生 原画展」のお土産です。一般での発売日前に特別販売でした。そういうの、わたし、初めて。

 2010年に亡くなった漫画家・佐藤史生の短編集です。8編収録。

 「佐藤史生の作品は大方読んでたんじゃなかったけ、全部既読作品かもしんないけど、佐藤史生読むの、久しぶりだからまあいいか。」とか思って買ったんですけど、『レギオン』・『阿呆船』・『一角獣にほほえみを』は初めてでした。『夢喰い』は2度めでしたけど、最初に読んだのは「佐藤史生 原画展」の展示でだったんだから、本で読むのは初。こっちも齢で、記憶の、まあ、いい加減なこと。

 書名にもなっている『夢喰い』は、作者の代表的な長編『ワン・ゼロ』の原型のような作品。なのに、電脳世界とは無縁の作品になっているのは意外でした。『ワン・ゼロ』は神と魔の対立を、最先端・超高性能の(現代風に言えば)AIコンピュータとからめて描いたもの。今思えば諸星大二郎の『孔子暗黒伝』の先鋭的な進化形、のような作品だったなとか思ったり。

 それと本書を読んで感じたのは、斜に構えた挑発的なキャラクターがお話を動かしていく、という作品が多いのが、作者の特徴であったのだな、と。本書収録作では『レギオン』の同名主人公、『羅陵王』のモルテスとか。同人誌掲載の『一角獣にほほえみを』のジョスランも。最初期からそうだったってことは、ほとんど体質的なものだったのかも。