『ブロークン・ブリテンに聞け 社会・政治時評クロニクル2018-2023』(ブレイディみかこ:著 講談社)、読了。
著者の同タイトルの本(2020年発売)の文庫化です。このところ、著者の本の新装再刊が続いています。「自他ともに認める売れない書き手だった」のが、人気作家となった余得というところでしょうか。著者の場合、再刊にともなって大幅増ページとなることも続いており、本書もそうです。なので、原著はすでに読んでいたのですが、こちらも読んでみました。
原著は2018〜2020年の英国時事エッセイ31編をまとめたものでしたが、本書はそれ以降のエッセイを追加したものです。
それ以降の英国の状況については、再刊にあたって追加された「五年一昔 文庫版の序に代えて」で著者が語るところでは、あれほど大モメになっていた EU 離脱もコロナ禍によるロックダウンも過去のできごと、という風に感じられているそう。ちなみに去年行われた世論調査では、英国民の過半数が、離脱は失敗・復帰したいと考えているそうで・・・
その一方で、不死身かと言われていた女王・エリザベス2世も亡くなったりして、どれも数年前のことなのに、こちらもあの「隔世の感」ってやつを抱かざる得ません。
前にも別のところで書いたことですが、英国で問題になることで日本にも当てはまりそうなことって、意外に多い気がしているので、参考にした方がいいかも。
最初のエッセイで取り上げられている生理貧困についても、近頃日本でも問題提起されているのをみるようになりましたし、EU 離脱で外国人労働者が激減した影響で大型トラックの運転手が不足したため、この分野の移民規制を緩和しようという意見が出ているところなんかは、原因が異なるとはいえ、バスの運転士不足を外国人材の活用での対応を検討している日本と重なっているように思えます。