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今日の本

平安時代天皇列伝

 『平安時代天皇列伝』(樋口健太郎・栗山圭子:編 戎光祥出版)、読了。

 平安時代の天皇に焦点をあて、各天皇の小伝を歴代順にまとめたという本です。副題にあるように平安京最初の主・桓武天皇から武者の世となりゆく時代に壇ノ浦に消えた安徳天皇まで、平安時代約400年、32人の天皇を編者を含め14人の著者が分担して書いています。

 時代の歴代権力者の短い伝記集という構成は、前に読んだ『鎌倉将軍・執権・連署列伝』と共通しています。

 『鎌倉将軍・執権・連署列伝』同様、平安時代の簡略化された通史としても読むことができます。

 昨年出た本なので、最新の研究が盛り込まれた内容でもあり、従来の通説とは異なる観点が紹介されているという点も読みどころになります。崇徳から近衛への継承、そして早世した近衛の後継者問題が保元の乱につながっていくあたり、個人的にはとても興味深かったです。

 「はしがき」にあるように、32人もいるのに一般によく知られている天皇は数人というところでしょうか。それなりに統治機構が整備されて安定した国家運営が組織的に行われるようになれば、最高指導者の能力・判断への依存度は低下し、だから、強い印象残す人物が少ない、また幼帝が多く現れる、ということになるのでしょうか。

 それにしても、菅原道真失脚後から平家の台頭までの期間、主要な登場人物は天皇・その女性たち・皇族と藤原氏ばっかり。以前から感じていることですが、同族企業の内輪もめみたいなことが繰り返されるのも、この時代の特徴かなと。