『出世できない孔子と、悩める十人の弟子たち。』(下村湖人:原作 森久人:作 Gakken)、読了。
青春訳名作シリーズという、ちょっと「?」なシリーズの1冊です。もっとも現在、このシリーズの本はこれ1冊だけのようです。現代の児童にわかりやすく仕立て直して文学の名作を、という意図なんでしょうか。出版社によると、対象年齢は小学高学年~中学生とのこと。
原作は下村湖人の『論語物語』。大昔、学校の図書館で見かけた記憶が。改題されてますが、原作者が見たらどう思うでしょうか(笑)。わたし、こういうノリ、けっこう好きなのでいいと思いますが。そのへんのサラリーマンみたいに、あっさり「出世できない」と一刀両断されては、聖人も苦笑するほかないのでは?
題のとおり、古代中国の思想の巨人(くだらない豆知識ですが、この方、ホントに長身だったそう)・孔子とその弟子たちのお話です。
有名な孔子ですが、わたし、中国史の概説などでサラッと読んだくらいの知識しかありません。あとは中島敦の『弟子』(好きです)とか諸星大二郎の『孔子暗黒伝』とか。もう少し知っておこうかと読みました。
どちらかというと、孔子その人より弟子たちに焦点をあてた感じです。そして、なるほど、悩める弟子たちの悩み方は現代風、それもわたしの世代やわたしの上の世代ではなく、今の10代、20代っぽいです。そのあたり、工夫が感じられますが、さて、対象年齢層はどう思うでしょうか。