
『優しい地獄』(イリナ・グリゴレ:著 亜紀書房)、読了。
社会主義時代のルーマニアに生まれ、日本で生活する人類学の研究者によるエッセイ集です。
書かれているのは、かつてのルーマニアのこと、日本で経験したこと、など。
「この人は幻視者なのだろうか?」と思ってしまうような、奇想の視点が、まず印象的です。
また、文体も独特です。翻訳書ではないので、いわゆる翻訳調ではありません。文章としては非常に読みやすいものなのですが、日本生まれ、日本育ちで第一言語が日本語、という人では書かない、いや、むしろ書けない文章のように思います。