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開店休業の記

今日の本

「その他の外国文学」の翻訳者

 『「その他の外国文学」の翻訳者』(白水社編集部:編 白水社)、読了。

 カッコ書きで「その他の外国文学」。本屋さんの棚の区分けでも見られますが、曖昧といえば曖昧な分類で、時と場所によって同じ国の文学でも入ったり入らなかったりして。要は外国文学の中でも主流(英米独仏、それに古典なら中国あたりかな)以外で、独立したスペースをとる必要はないとみなされた本が十把一絡に押し込めにあっているような、ちょっと悲しげな印象もあったり。

 本書では、主流とは言えなさそうな9つの言語の翻訳者の、その言語の翻訳者になるまでの歩みとお仕事事情を紹介したものです。元はwebマガジンの連載記事だったそうです。

 この9つの言語のうち、チベット語の小説については去年本書に紹介されている方の訳でたまたま読んでおり、読みながら「日本人でチベット語ができる人って、どういう人なんだろ?」と思っていたので、本書も読んでみました。

 当たり前ですが、その言語を学ぶようになったきっかけは各翻訳者さまざま。「親にハメられた」とか「食い扶持につながる言語と思って」などと述懐される方もいて、おもしろいです。

 共通しているのは、やはり皆さん、各言語を学ぶ以前に元々本を読むことや語学が好きだったよう。それと苦労した点ということで、主流の外国語ではないために、辞書や文法書など学ぶための教材がそもそもあまりない、ということがあるようです。

 各章の終わりに、翻訳の参考になる本や各言語のおすすめが紹介されているのですが、その中に『ぼくたちに翼があったころ』と『掃除婦のための手引き書』が入っていて、なんとなく嬉しかったり。