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開店休業の記

今日の本

ネット右翼になった父

 『ネット右翼になった父』(鈴木大介:著 講談社)、読了。

 晩年、いわゆる「ネット右翼」的言説が次第に増えていった著者の父。そんな父に困惑し、反発する著者。どうしてそうなってしまったのか、納得のいかない思いを抱え続けた著者は、父の死後、生前関係が円満ではなかった父の言行を検証し、改めて向き合うことを選択する。本書はその記録です。

 わたしはてっきり、高齢者の「ネット右翼」化の事例を広く集めてレポートし、その原因を探る、というような内容かと思って読み始めたのですが、違いました。一般論ではなく、著者の父の人物像の再検証が中心、というかなり個人的な内容になっています。

 文章から動揺する心情が伝わり、著者にとって、かなりつらい作業であったことが読み取れます。客観的に書きにくいテーマというのは理解できますし。

 そして著者自身が本書の終わりの方で、当初の「企画意図はブレた」と書いています。確かに。

 なので、やや内容が迷走気味、という感はありますし、「ネット右翼」に焦点をあてた本、と思うと「あれれ?」という気もしますが、著者の父を軸とした家族関係の見つめ直しについての本と思えば、なかなか中身の濃い、読み応えのある本ともいえそうです。