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開店休業の記

今日の本

統合失調症の一族

 『統合失調症の一族』(ロバート・コルカー:著 柴田裕之:訳 早川書房)、読了。

 兄弟姉妹12人のうち、半数の6人が統合失調症と診断されたアメリカの大家族。彼らそれぞれの半生と並行して統合失調症研究の歴史を追ったノンフィクションです。

 ずっしり、重い読み応えの本です。

 まず、感じるのは統合失調症という病の得体のしれなさ。いったい患者の頭の中で何が起きているのか?

 統合失調症ではなかったのですが、一時的に類似した症状(幻覚を見たり、異様な妄想にとらわれたり)を発した人を間近で接した経験があり、その時感じた深い困惑と背筋を這い上ってくる冷たい戦慄を思えば、家族内に6人もの統合失調症患者がいるという状況は想像を絶します。実際、本書の記述から受けるこの家庭の印象は、壮絶としか言いようがありません。

 ノンフィクションですから、小説のように読み手がすっきりするような結末が用意されているわけではありません。本書によれば、残念ながら現在でも統合失調症の原因は解明されておらず、治癒に至るような効果の高い治療法・薬はないようです。副題にある「遺伝か、環境か」という疑問にも結論は出ていないようです。出口の見えない闇の中にそのまま放置されたような気分になりそうな一方、この環境にあってもなお生き抜いて自分なりの人生を確立させ、続けていくことができる人がいるという、人間の強靭さについても教わる本でもありました。