
『死刑になりたくて、他人を殺しました』(インベカヲリ★:著 イースト・プレス)、読了。
副題が『無差別殺傷犯の論理』ですし、無差別殺傷犯に関するレポートか考察かと思ったんですが、無差別殺傷犯その人ではなく、無差別殺傷犯と何らかの接点を持つ人に対するインタビュー集でした。あらら。
インタビューを受けているのは、加害者家族の支援者、無差別殺傷犯の友人、刑務所で受刑者に対してボランティアで宗教面から感化に努める教誨師ら10人。
ちょっと拍子抜けでしたが、それぞれの立場から無差別殺傷について語ってもらっており、これはこれで十分読み応えがあります。無差別殺傷の当事者ではないにせよ、そこから遠くないところで活動している人ばかりで、発言に説得力があります。死刑制度に反対の人が多い(明確に賛成を表明した人はいませんでした)のも、考えさせられるところ。
著者の本(エッセイ)を以前、1冊読んでいました。
今日の本 ‐ 『私の顔は誰も知らない』
写真家とのことでしたが、ノンフィクション作家として事件ルポの著作もあるそう。本書はそこから派生したものでしょうか。
著者は多分、わたしとはだいぶ考え方が違う人ではないかという、前の本を読んだ時と同様の感触を持ったのですが、この人の場合、そこに反発を感じるのではなく、「なるほど、こういうふうに考える人もいるのね」と思えるのがおもしろいです。