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開店休業の記

今日の本

NATO(北大西洋条約機構)を知るための71章

 『NATO(北大西洋条約機構)を知るための71章』(広瀬佳一:編著 明石書店)、読了。

 また読んでみました、エリア・スタディーズ。今回は国ではなくて、国際機関。NATOです。


 よく聞く名前ですが、実体はよくわかっていないので(基本、欧州と北米の組織ですしねぇ)少し勉強しようと読みました。NATOっていうと、「鉄のクラウス」とか「万年少佐」とか「アラスカへ行け!」とかを真っ先に思い出してしまう人なもので。

 呆けた前置きはともかく。

 まず、NATOとはどのような組織か、から始まり、東西冷戦期、そして冷戦後の組織の展開と活動、さらに関係各国(NATOには加盟してはいないものの、関係の深い国を含む)の状況等、といった内容です。

 NATOは元々、第二次世界大戦後、ソ連の脅威に対抗するための西側諸国の軍事同盟であったのですが、ソ連が崩壊した冷戦後、欧州外での行動も任務とするようになるなど役割が変化していったところで、昨年のウクライナ侵攻により(ソ連の継承国である)ロシアが再び重大な脅威として明確に認識され、対応が迫られている真っ最中です。

 本書は今年の2月に出たばかりで記述されている情報も比較的新しく、ウクライナ侵攻の影響も盛り込まれた時宜を得た内容になっており(というか、本書自体、ウクライナ侵攻の衝撃により企画されたものなのかもしれませんが)、とても参考になります。

 個人的には、関係各国にとってNATOとはどのような存在・位置づけなのか、についての解説が興味深かったです。2022年時点の加盟国だけで30カ国。他に加盟はしていないが領域が重なるEU加盟国(オーストリア等)やパートナー国(日本も含まれます)等の関係の深い国も少なくありません。それぞれ事情と思惑があるところを簡潔にまとめ読みやすく記述してあり、欧州から遠い日本では今一つピンとこないこの大規模組織のあり方を理解する上で、大いに助けになると思います。