
『基礎から学ぶ統計学』(中原治:著 羊土社)、読了。
最近(2022年)出版された統計学の入門書で、なかなか評判が良いらしいということで読んでみました。
著者は、北海道大学の准教授で、農学部の統計学入門レベルの講義を20年担当しているとのこと。その経験を生かしてまとめたのが本書ということだそうです。
評判が良いというのも納得のわかりやすさです。図を多用し、つまづきそうなところをていねいに、根気強く説明してくれています。
わたしは統計検定2級は合格済みなので一応入門レベルは学習済みということを割り引いても、どんどん読み進めることができました。統計検定2級のための勉強の時は公式を丸暗記するだけですましていたところについて、本書ではなぜこのような計算をするのかをわかりやすい表現で解説しているので、改めて「なるほど、アレはこういうことだったのか」と納得できたことがいくつもあり、収穫でした。
ただし、統計検定2級の試験範囲とは内容が一致しているわけではないので、本書だけでは統計検定2級向けの学習には足りません。他書で補う必要がありますので、そこはご注意。
また、著者も最初の方で述べているように、本書は統計学の専門家養成のための入門書ではなく、他の分野の研究をする学習者が統計学を自分の研究のための実践的な「道具」として使えるようになることを目的としているため、あるレベル以上の数学を必要とする理論的な説明は端折っています。
本書を統計学の学習に使うならそういった本であるということを理解した上で、という条件付きですが、優れた入門書だと思います。
今日の本 ‐ 『コア・テキスト統計学 第3版』