Fumble 、Mott The Hoople に続いてパブ・ロックのコンピレーション "Surrender To The Rhythm" 収録アーティストから、気になった人たちを。
今回は Chilli Willi & The Red Hot Peppers です。CD2枚組のアンソロジー、2017年に出た "Real Sharp" です。彼らが残した2枚のオリジナルアルバムにデモ等を大量に追加したてんこ盛りセットです。Fumble もそうでしたが、この人たちもオリジナルアルバム単体のCDは現在入手できないようなので、これになりました。
ファーストアルバム、1972年の "Kings Of The Robot Rhythm" はアメリカのカントリー・ロックへの憧憬を素直に表現したような内容。"Nashville Rag" なんて曲があるし。意識したのは後期 The Byrds とか The Flying Burrito Brothers とかでしょうか。ちょい切なげな "Living Out Of My Suitcase" と "That's Alright Mamma" が好き。
これが1974年の2枚め、"Bongos Over Balham" になりますと、カントリー・ロックがベースにあることは変わりがないのですが、それだけにとどまらず、英国的なヒネリを幾重にも加えて、本場・アメリカのカントリー・ロックとは一味違うオモシロ音楽的な色が出てきました。楽しさという点では、ファーストよりこちらが上。"We Get Along" や "Midnight Bus" がいいです。ちなみにこのアルバム、Ronnie Lane の LMS を使って録音されています!
ボーナストラックで注目はライブですね。地道なパブ巡りで鍛えられていたのか、スタジオ録音を上回る活きのよさ。全開でかっ飛ばす "Six Days On The Road" 、かっちぇーぞ。
ちょいとステキなバンドなんですが、"Surrender To The Rhythm" 収録アーティストの多くがどうやらそうであったように、彼らもレコードはさほど売れず、アルバム2枚出して解散ということになりました。良い音楽(特にわたしが個人的にそう思う音楽)を演っているからといって売れるわけではない、それはままあることではありますが、やっぱりなんか寂しいな。
でも、解散後半世紀近くを経た後でも、こうして出会えるのは嬉しいこと。本作もいきなり2枚組は重たいかなと、聴く前は思っていたのですが、全然そんなことなかったです。