
亡くなった後もいろいろな作品が発掘されて出てくる Tom Petty 。良いものが多いので歓迎しております。今回はライブ!
Tom Petty & The Heartbreakers 、"Live at the Fillmore 1997" です。昨年末出たもので、2枚組の通常盤と4枚組のデラックス盤がありますが、わたしは当然、デラックス盤。58トラック入り。
タイトルのとおり、1997年1〜2月に6回行われたアメリカ・サンフランシスコの有名なコンサート会場・フィルモアでのショーの演奏曲が収録されています。
1997年っていうと、もう20年以上前かぁ・・・。当時の彼らの状況はというと、サントラ "She's The One" を出した後で、メンバーとして表記されているのは Tom 、Mike Campbell 、Benmont Tench 、Howie Epstein というおなじみの顔ぶれに加え、ギターで Scott Thurston 、それに The Heartbreakers デビュー以来ドラムを務めてきた Stan Lynch が1994年に脱退しているため、代わって Steve Ferrone という陣容になっております。
彼らはスタジオ作品だけでなく、ライブでも評価の高いバンドで、その実力の片鱗は "Pack Up The Plantation" や "The Live Anthology" でもうかがえますし、本作も期待に違わぬ充実した内容です。
この時点ですでにベテランの域にあった彼らですが、演奏は元気いっぱい!
それと本作を聴いて改めて思ったのは、芸達者な人たちだなぁ、と。単なる「上手い」ロックバンドではなく、お客を盛り上げ楽しませる演奏ができるロックバンドなのだと。
Roger McGuinn と John Lee Hooker がゲスト参加(それぞれ別の日)。お二人とも大物ですが、タイプが全然違いますけど。でもまったく問題なし。どちらも違和感なく自分たちのライブに乗せてしまう懐の広さがあります。"Eight Miles High" なんか、ちょっとモタモタっとしたオリジナルより、ぐっと引き締まったこっちの方が好きかも。
他のカバーもおもしろいです。Dylan 、Stones 、(ロックバンドならみんな演りそうな)Chuck Berry あたりは、彼らだといかにもというところで意外性、ないのですが、他にも Van Morrison 、The Kinks に J. J. Cale に Grateful Dead に Johnny Kidd & The Pirates にと。みんな知ってる "You Are My Sunshine"(中学の時、英語の授業で歌わされたわ)に『007/ゴールドフィンガー』のテーマ曲までありますよ。守備範囲、広いな。
オリジナル曲で注目は "Heartbreakers Beach Party" 。こんな曲、今まで知りませんでした。シングルのB面曲だったそう。なるほどB面曲っぽいお遊びソングですが、お客さん、ウケてるし、みんな知ってるらしい。やっぱ、本国のファンは違うなぁ。"The Wild One, Forever" 〜 "Even the Losers" 〜 "American Girl" と初期の曲が続くところは、心なしかノスタルジック。オールドファンへのサービスでしようか。
計4時間超。たっぷり楽しめます。