『ロシアのなかのソ連』(馬場朝子:著 現代書館)、読了。
著者は1970年代に旧・ソ連に6年間留学していたという経歴の持ち主で、その後、旧ソ連・ロシア関係のテレビ番組をいくつも手がけた制作者です。
本書はロシアのウクライナ侵攻後の2022年9月に出版されたもので、戦争が続いている現状を踏まえつつ、著者の長年の経験をもとに、実は未だ「ソ連」の影が払拭されずにそこかしこに残るロシアとはどんな国なのか、紹介する本です。
長年、まったく別体制で運営されてきた国家がいきなり民主化、資本主義化しようとしても、そう簡単にうまくいくものではないということが痛感させられます。教条的に「民主主義・資本主義こそが正しい!」と信じ、どの国でもこれらを適用すればよいのだと安直に思いがちな我々も十分反省の余地があると感じます。
それにしても、かつてアフガニスタンで深い傷を負ったにもかかわらず、再びウクライナで泥沼に突っ込んでしまうとは。歴史から学ぶということが、実はそんなに簡単ではなく、とても難しいことなのでは、などとも考えさせられてしまいます。
一方、女性の社会進出や芸術への敬意は、今の日本も見習うべきところがあるんじゃないのと思ったり。
そういえば、去年、やはりウクライナ侵攻後に出たロシア紹介のエッセイを読んでいました。
当然と言えば当然なのですが、一般のロシアの人々に対する印象が、両書でかなり共通しているのがおもしろいです。