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開店休業の記

今日の本

アイルランド現代史

 『アイルランド現代史』(北野充:著 中央公論新社)、読了。

 わたしにとってアイルランドというと、まず音楽。歴史についてあんまり。本書では冒頭・第一章にあてられているアイルランド独立闘争を描いたケン・ローチ監督の作品『麦の穂をゆらす風』(本書でも触れられています)は良い映画で、観ているんですが、その時代背景はよくわかっていませんでした。なので、改めて勉強のつもりで読みました。

 20世紀以降、独立から現在までのアイルランドの歴史を、政治・外交を中心に一般向けに解説したもの。著者は本書発表時駐アイルランド大使だった外交官。専門の研究者や著述家ではありませんが、基礎知識としての独立以前、イングランド支配下の状況から経済発展を遂げた現在のアイルランド、そして最後の「日本はアイルランドから何を学べるか」まで、よくまとまっていて流れもスムーズで、堅い内容ですが読みやすいです。

 わたしが音楽などを通じてアイルランドを意識するようになったのは1980年代のころだったかと思いますが、そのころのアイルランドは「西欧の最貧国」などと呼ばれるくらい貧しく、話題になることとといったら北アイルランド問題にからんだテロ、という有様でした。そういえばテロの話はすっかり聞かなくなりました。まだ予断を許さない状況は続いているようですが、少なくともかつてと比較すればはるかに穏やかになったのは、経済成長と並んで喜ばしいことです。