『ぼくたちクルド人』(野村昌二:著 合同出版)、読了。
去年『マイスモールランド』という映画を観まして。偶然ですが、それとほぼ同時期に出た本です。
映画は難民認定を受けられなかった埼玉県在住のクルド人家族の物語でした。こちらは実際に日本で暮らすクルド人の置かれた状況を知らせるノンフィクションです。
まず、映画で描かれたクルド人の日本での立場がほぼ実態に沿ったものだということがわかります。なので、映画で関心をもたれた方はお読みになるとよろしいかと。
クルド民族がどういう人々で、なぜ故郷を離れて日本に来ざるえなかったのか、映画ではあまり説明されていませんでした(それやると長くなりすぎるでしょうし)が、この本ではそのへんを含めたクルド民族の簡単な紹介もあり、理解の助けになります。
そして、読んでいて辛いのは、日本の難民認定の狭量さや入管(入国在留管理局)のやり方の悪辣さ。難民条約に加入していながら難民保護などやる気はないのがミエミエだし、難民認定や在留許可を求める人たちをまともな判断もせずに半ば犯罪者扱い(入管の収容施設での待遇はどうかすると刑務所よりひどいとか)し、国連からは逆に日本の入管施設で死亡者が多発していることなどにより、日本の入管制度は国際人権規約に反していると指摘される始末。
そのくせ、今さら人手不足だからとご都合主義でなんだかよくわからない外国人労働者のグレーな受け入れ拡大を図ったり、国際社会へのええカッコシイで一部の戦争避難者だけ特別に在留を認めたり、一言で言うなら、「反吐が出るぜ」、です。情けない。くそっ、こんな国だったなんて、腹が立つ。