
『鳥獣略画式』(鍬形蕙斎:作 芸艸堂)、読了。
上の画像を見ていただければわかるかと思いますが、豆本です。画集ですから、「読んだ」というのは違うかも。
鍬形蕙斎は、江戸時代も後半に入った田沼意次の執政期から第十一代将軍徳川家斉のころの浮世絵師です。初期は北尾政美と名乗っていました。
わたしは彼の絵を去年の美術展で初めて目にしまして、出展作品の中でも特に気に入りました。
昨日の行楽 − 府中市美術館:「開館20周年記念 動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり」
彼が出した『略画集』(「略画」というのは「細部を省略して簡単に描いた絵」のことで、その手本画集、現代でしたらイラストポーズ集に相当するものでしょうか)が大評判となり、その後、人物や山水などテーマをしぼった略画集シリーズを世に送りました。本作はそのうち『鳥獣略画式』を和綴じの豆本で復刻したものです。
略画なので本格的・芸術的な「絵画」ではなく、サラサラと描いたイラストやマンガに近いポップな作品集です。大判の画集ではなく豆本なので絵は小さいのですが、むしろ合ってますね。和綴じというのも、ちょっと特別感があって、いいです。
絵がとにかくカワイイ! これが江戸時代にウケたというのは、日本人のカワイイもの好きは根が深いんだろうな。
表情がいいんですよね。略画ですが、ちゃんと動きが伝わってくるのもいいです。数珠つなぎになってるおサルが特に好き。