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開店休業の記

今日の本

シリーズ戦争学入門 第二次世界大戦

 『シリーズ戦争学入門 第二次世界大戦』(ゲアハード・L・ワインバーグ:著 矢吹啓:訳 創元社)、読了。

 同シリーズ、2冊め。

 著者は外交史・軍事史の研究者で、第二次世界大戦前のドイツ生まれのユダヤ系アメリカ人。本作以前に大部の第二次世界大戦通史を上梓しており、本作はそれをもとに書かれた入門者向けの概説書ということになります。原著の出版は2014年。

 1冊めの『軍事戦略入門』もそうでしたが、本作も索引含めて200ページ以下と、扱っている主題の大きさからするとずいぶん薄い本です(シリーズ他の本もみな200ページ前後で、そういう刊行方針らしい)。抄訳ではなく全訳とのこと。

 なので、概説も概説、第二次世界大戦史の「骨組み」だけ、のような本です。入門者向けらしく、たしかに簡潔で読みやすいですが。以前読んだ『独ソ戦』はそれだけで新書とはいえ、一冊丸々独ソ戦で費やしているわけですし。

 じゃあ、それなりに知識がある人には意味のない本かというとそうでもありません。第二次世界大戦はあまりにも規模が大きく状況が複雑で、ある戦域の詳述を読むだけでも大変。がんばって、いろいろ読んでも全体像がつかみにくいといううらみがあります。その点、本書は限界に近いくらい簡潔なので、非常に見通しが良く、大きな動向の理解の助けになります。

 ということで、入門者だけでなく、知っている人の復習用にも良。