
『恐竜研究の最前線』(マイケル・J・ベントン:著 久保田克博・千葉謙太郎・田中康平:監訳 喜多直子:訳 創元社)、読了。
イギリスの古生物学者が、この数十年の間に飛躍的に進展した恐竜研究の知見を、豊富な図版や恐竜のイラストともに紹介するポピュラーサイエンスです。原著の出版は2019年ですから、最新に近い研究成果に触れることができます。
わたしの恐竜に関する知識はおおよそ小学校時代で止まっていました。そのころ読んだ子ども向けの恐竜の本では、挿絵のティラノサウルス(本書にもイラストあり)はゴジラみたいに直立していました。恐竜絶滅の原因の説明もあいまいで、巨大隕石の衝突とか、まったく出てこなかったと思います。
そういう大人が認識を新たにする目的で読むのに、まさにピッタリの本です。
恐竜の起源、食生活、行動パターン、体色、成長の速度に絶滅原因、さらに化石の発掘の流れなど盛り沢山です。
おまけとして、これまで発表された恐竜絶滅の仮説の一覧が紹介されているのがユニーク。細かく分類すると数十件あり、ほとんどが証拠がないナンセンスなものだそう。科学の世界も玉石混交、そして玉より石の方が圧倒的に多いということがわかります。そして繰り返される検証に耐えうる玉が残っていくと。