『100年前の写真で見る 世界の民族衣装』(ナショナルジオグラフィック:編 日経ナショナルジオグラフィック社)、読了。
ナショナルジオグラフィック協会というのは、もともと「地理知識の普及と増進」を目的として1888年にアメリカで設立された非営利団体です。同団体が発行している雑誌『ナショナルジオグラフィック』は日本語版も出ていて、世界各地の美しい写真が数多く掲載されていることでも知られています。わたしも時々読みます。
そのナショナルジオグラフィックが所蔵する過去の記録を生かした民族衣装写真集というわけです。
まず、表紙の女性に心ひかれてしまいますね。現代のポップスターかのような華やかないでたちに強い視線。ちょうど100年前、1922年に掲載されたアルジェリアの踊り子(当時のポップスター的な存在かな)だそうです。まあ素敵。
チベット系の少数民族モソの男たち、かっちぇーな。遠足に出かけるスウェーデンの生徒たち、絵本に出てきそう。モスクワ見学中の少年たち、掲載が1917年って、ロシア革命の年じゃん! この後、彼らをどんな運命が待っていたのか・・・。
解説にあるとおり、現代では世界中の人々が同じような格好をするようになってしまいましたが、100年前なら地域ごとに独自の服装を身にまとっていたことが、目で理解できます。ああ、そういや、わたしの祖母、父方も母方も写真に残っている姿はいつも着物だったなぁ。それもほんの少し前のことのような気がするんですが、今じゃ、ふだんから着物着ている人なんて、まわりにだれもいない・・・。
撮影された地域にやや偏りを感じなくもないですが、なにせ100年前、交通機関が今とは比較にならないほど発達していなかった時代ですから、さすがのナショナルジオグラフィックといえど行けるところには限界があったでしょう。それを思えば、よくこれだけ広範囲の記録を残しておいてくれたものだと、賛嘆しきり。
まちがいなく貴重で、かつ楽しいです。時々、ひっぱり出してパラパラ眺めたくなりそう。