『私の顔は誰も知らない』(インベカヲリ★:著 人々舎)、読了。
著者は本書の題について、「社会に適応することを最優先するあまり、本来のパーソナリティが完全に隠れてしまったかつての私であり、似たような経験を持つ、多くの女性たちを表した言葉」と言っています。
本書は写真家である著者の初エッセイ集であり、「擬態」がキーワードになっています。
ふ〜む〜。
わたしも立派な大人なので「フリ」をすることぐらい、いくらでもあるのですが、「フリ」をしていても本書に登場する女性たちのように「素の人格を消して別の何かを演じている」ような感覚を持ったことはありません。「フリ」をしていても、それもまた自分、というか。「フリ」をするにも、自分にできる「フリ」には限界があって(しようったって天才音楽家のフリなんかできないしぃ)、それが自分というか。
なので、わたしは多分、著者の良い理解者ではないでしょう。
じゃあ、おもしろくなかったのかというと、そうではありません。わたしとは「違う」ところが興味深いです。
一番印象に残ったのは、著者の写真は女性だとすぐに理解してくれるのに、男性だと何を表現しているのか伝わらないことが多い、というところ(テキストを添えるようにしたら改善したそうです)。本書にも著者の写真がいくつか掲載されているのですが、実はわたしもよくわかりませんでした・・・。