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開店休業の記

今日の本

新しい世界の資源地図

 「新しい世界の資源地図」(ダニエル・ヤーギン:著 黒輪篤嗣:訳 東洋経済新報社)、読了。

 国際関係とエネルギーの生産・消費のありかた、それらの変化が世界をどう変えたか、そしてこれからどう変えていくかを、特に情勢に大きく影響を与える要素それぞれに焦点をあてた6部により論じていきます。

 第1部はシェールオイルの技術開発により石油の輸入国から輸出国へと立場を変えたアメリカ、第2部はソ連崩壊から恵まれたエネルギー資源をテコに大国としての復活を狙うロシア、第3部は今や世界で1,2を争う経済大国に成長しエネルギーの大量消費国となった中国、第4部は他の地域を圧倒する石油・天然ガスの資源量を持ちながら混乱が続く中東、第5部は近年、電動化、自動運転、配車サービスといった革新的な変化が起きている自動車、第6部は今日全世界的な課題として意識されるようになってきた気候変動、この6つをそれぞれ主題としています。

 スケールの大きな著作です。索引や注を含めると600ページ近い大部なのですが、興味深い論点が次々と提示され、冗長とは感じさせない充実した内容です。もっとも内容の幅が広すぎて個人的には一読では消化しきれない感も残りましたが、それにしても読み応えありました。

 シェール革命、ノルド・ストリーム2、南シナ海における中国と東南アジア諸国の対立、イランの核疑惑と経済制裁、フォルクスワーゲンのディーゼル不正。個々にはいくらか知っていることでしたが、それが他の問題とどう関連していくのか、このように俯瞰的に解説してもらえると世界の動きがまた違って見えてきます。

 原著は2020年の発表なので、もちろんロシアのウクライナ侵攻について書かれていませんが、ロシアとウクライナの関係については解説があり、参考になります。