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開店休業の記

今日の本

スラエル VS. ユダヤ人

 「イスラエル VS. ユダヤ人」(シルヴァン・シペル:著 林昌宏:訳 高橋和夫:解説 明石書店)、読了。

 どんどんアパルトヘイト国家化しつつあるイスラエルを憂慮するフランス出身のユダヤ人による批判の書。

 今世紀に入ってアフガニスタン、シリア、ミャンマー、そしてウクライナと他地域での紛争が連続し、すっかり注目されることが少なくなくなったイスラエルとパレスチナの和平問題。ならば、落ち着いた状況なのかといえばとんでもないことで、パレスチナ人の置かれた立場は刻一刻と悪化し、そればかりかイスラエルでは政府批判をするのであればユダヤ人に対してすら圧力がかかるようになってしまっていると著者は述べます。

 本書で一番衝撃的だった記述はイスラエルのユダヤ教指導者の一人が人種差別を肯定し、条件付きとはいえ、こともあろうにヒトラーのイデオロギーを正しいと(ただし、そのイデオロギーの実践対象を間違えたと)まで発言したことです。どうなってしまったんだ、イスラエル? 他にも「誇張だよね? 話盛ってるよね?」と思いたくなる報告がたっぷりあって、暗澹たる気分になってしまいました。

 こうした有様に、かつてはイスラエルの強力な支援者であったアメリカのユダヤ人社会も離反しつつあるとか。

 本書の原著が出版されたのは2020年。出版後の2021年、10年以上にわたって政権を維持し、アパルトヘイト化を進めたとして本書でも強く批判されているネタニヤフ内閣が退陣しましたが、状況は好転するのでしょうか・・・。